AIが株式市場にもたらす16兆ドルの衝撃とは?

モルガン・スタンレーのアナリスト、スティーブン・バード氏は最新のレポートで、人工知能(AI)がS&P500企業に与える利益について試算を示しました。その分析によると、S&P500企業は年間で約9,200億ドルの純利益増加につながる可能性があるとしています。

この規模は決して小さくありません。S&P500の非金融企業は過去12カ月で約2.4兆ドルの営業利益を計上しており、金融を含む全体の純利益は2兆ドル程度です。もしAIによる効果で9,200億ドルが追加されれば、非金融企業の営業利益率は6ポイント上昇し、22%を超える水準となります。さらに税引後利益は約40%の増加につながる可能性があります。

株式市場価値へのインパクト

モルガン・スタンレーは、こうした利益拡大がS&P500全体で13兆ドルから16兆ドルの市場価値を生み出すと見積もっています。現在のS&P500の時価総額はおよそ60兆ドルに迫っており、これは22%から27%の上昇に相当します。

その価値創造は、AIによるコスト削減(人員削減や業務効率化)と、新たな売上・利益率改善(従業員を高付加価値業務に振り向けることで売上増加や利益率向上を実現)の組み合わせによってもたらされると分析されています。

雇用への影響と生産性向上

AI導入に伴い、一部の職が失われるリスクもあります。しかし、歴史的に見ても生産性向上は新たな雇用を生み出す傾向があります。そのため、長期的には経済全体にプラスの効果を与える可能性があります。

ビッグテックの巨額投資

グーグル(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、メタ(META)、アマゾン(AMZN)といったテクノロジー大手は、AI開発に向けた巨額の投資を加速させています。2025年には設備投資が3,400億ドルに達すると予想され、2024年から50%増加する見込みです。さらに2026年には追加で20%近く増加するとされています。2024年から2026年の3年間で、この4社だけで1兆ドル規模の投資が見込まれています。

エヌビディアの役割

AIの基盤を支える半導体市場においては、エヌビディア(NVDA)が中心的な存在です。同社のGPUは生成AIや大規模データ処理に欠かせないものであり、ビッグテックの投資を直接的に後押ししています。AI関連の支出拡大は、半導体業界全体の成長にも大きな影響を与えると考えられます。

投資家への示唆

AIによるコスト削減と利益拡大の可能性は、投資家にとって安心材料となっています。巨額の資本支出は一時的に負担に見えるかもしれませんが、モルガン・スタンレーはこれらの投資が長期的に大きなリターンをもたらすと予測しています。

AIは単なるトレンドではなく、企業収益構造を根本から変える要素となりつつあります。投資家にとってAI関連のテーマは今後も市場の中心に位置づけられることになりそうです。

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