米テック系メディア『The Information』は2025年8月15日付の記事で、アメリカのテクノロジー業界がAI分野で中国をはじめとする外国人研究者に大きく依存している現実を取り上げています。特にアルファベット(GOOGL)によるAIスタートアップWindsurfの買収事例を通じて、ビザの移行に伴う研究者の足止めやキャリアへの影響が浮き彫りになっています。
外国人研究者の比率と移民政策の影響
2022年時点で、米国で活動するトップレベルのAI研究者の約4割が中国出身とされており、メタ・プラットフォームズ(META)の研究チームでも半数近くが中国の大学出身です。しかし、H-1BビザやOPT制度に不透明感が広がり、移民政策の変化によりAI人材が米国に留まることへの不安が強まっています。
トランプ政権下で高まる移民不安
ドナルド・トランプ大統領の再選以降、反移民的な言動や政策が続いており、AI研究者の中には「合法的に働き、高収入を得ていても、家族の安全や将来に不安を感じる」と語る人もいます。実際にスタートアップ設立を断念したり、海外学会参加を避けるなど、キャリア形成に影響が出ているケースが報告されています。
企業側の対応と限界
アルファベットなどの大手は、海外オフィスを経由して社員を米国に戻す仕組みや、採用直後からグリーンカード申請を進める対応を取っています。しかし、研究成果の外部発表を制限する方針が、永住権取得のハードルを高めるなど、逆効果となる一面も指摘されています。
今後の展望
議会では中国など特定国出身の科学者を制限する法案が提出される一方、AI企業にとっては国籍を問わず優秀な人材を確保することが最優先課題です。H-1B制度改革やOPTの見直し次第で、米国がAI人材の国際的な競争で優位を保てるかどうかが左右される可能性があります。
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