シーインとテムー失速でアマゾンに追い風、米国市場の構図が変化

米投資情報メディア「バロンズ」は、2025年8月17日付の記事で、シーインとテムーがアメリカ市場で厳しい局面を迎えていることを報じました。その背景には、米国政府による「ディミニマス制度」の撤廃があります。これにより両社は大きな打撃を受け、アマゾン(AMZN)をはじめとする競合他社にとって有利な状況が生まれています。

ディミニマス制度の終了が打撃に

ディミニマス制度とは、800ドル未満の商品が関税や厳格な通関手続きなしで米国に輸入できる仕組みです。シーインやテムーはこの制度を活用し、中国から小口の荷物を大量に送ることで低価格を実現してきました。しかし、2025年4月にトランプ政権が中国・香港からの輸入に対してこの優遇を終了。さらに7月には全世界に対象を拡大しました。

この影響で、シーインの米国売上は5月に前年同月比11%減少、テムーは23%減少しました。アプリのダウンロード数や利用者数も大幅に落ち込み、両社の広告費も米国では6割以上削減されました。

シーインは部分的に回復、テムーは苦戦

センサータワーやブルームバーグのデータによると、テムーのアプリダウンロード数は4月から6月にかけて77%減少し、月間アクティブユーザー数も前年同月比で約半減しました。一方、シーインは51%の減少にとどまり、7月には米国売上が12.8%増加するなど、回復基調を見せています。ファッションに特化した事業モデルが価格転嫁をある程度可能にしている点が強みとされています。

アマゾンにとっての好機

シーインとテムーの後退によって最も恩恵を受けているのはアマゾンです。米国におけるアマゾンの売上は、2025年3月から7月にかけて年率換算で平均9%の成長を記録。7月単月では11.6%増加し、業界全体を上回る伸びを見せました。長期的にシェア拡大を続けてきたアマゾンにとって、今回の政策変更は追い風となっています。

他の小売企業の動き

エッツィ(ETSY)やTJX(TJX)、コストコ(COST)といった企業も積極的に広告出稿を強化し、シーインやテムーの空白を埋めようとしています。また、ZARAやGapなどのファストファッション企業、オールドネイビーやノードストロームラックといった低価格志向のブランドも、アクティブユーザー数の増加が確認されています。

今後の展望

シーインとテムーは米国での苦戦を補うように、海外市場での拡大を加速させています。さらに、米国内の倉庫やサプライヤーを活用する戦略を模索しており、長期的に成長を取り戻す可能性もあります。ただし、現時点ではアマゾンや既存の小売企業がシェアを取り戻す動きが鮮明です。

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