米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が、米鉄鋼大手ニューコア(NUE)の株式を購入しました。この動きが市場に与えた影響や企業の特徴について、バロンズの記事をもとにご紹介します。
株価と市場の反応
バークシャーによる株式取得のニュースを受け、8月15日の米国市場でニューコア株は一時151.32ドルまで上昇し、最終的には前日比0.7%高の145.41ドルで取引を終えました。S&P500は0.3%下落、ダウ平均は0.1%上昇と、指数全体の動きはまちまちでした。他の鉄鋼株では、クリーブランド・クリフスやスチール・ダイナミクスも一時上昇しましたが、終値では下落に転じています。
ニューコアの強みと事業概要
ニューコアは世界で20位以内に入る鉄鋼メーカーで、小規模電気炉(ミニミル)を用いた低コストのスクラップ鉄リサイクルにより、長年成長を続けてきました。また、S&P500配当貴族銘柄の一つで、25年以上連続で増配を行っています。配当利回りは約1.5%です。
市況と業績見通し
鉄鋼業界は景気や政策の影響を受けやすく、業績の変動も大きいのが特徴です。ニューコアの2022年の1株利益は約29ドルでしたが、2024年には鉄鋼価格の下落もあり約8.50ドルに減少しました。現在の鉄鋼価格は1トンあたり約830ドルで、2025年の予想EPSは約8.30ドルとされています。価格上昇は始まったばかりで、長期契約による価格反映の遅れもあり、今後の推移が注目されます。
バークシャーの過去の鉄鋼投資
バフェット氏は2006年頃に韓国のポスコ株を購入し、翌年にかけて株価は3倍近くに上昇しましたが、2008〜09年の金融危機でその利益は帳消しとなりました。最終的には一桁台の年率リターンで2013年頃に売却しています。今回のニューコア買いは、利益がピークから落ち込んでいる景気循環の谷間での投資であり、バリュー投資家的なアプローチといえます。
投資家への示唆
バークシャーの動きは、低いPERや配当の安定性を評価する長期投資家にとって参考になります。一方で、鉄鋼業界は予測が難しいサイクル産業であるため、慎重なリスク管理も欠かせません。今回の投資が過去の教訓を生かした成功例となるか、今後の市況がカギを握ります。
*過去記事「トランプ大統領が鉄鋼関税を50%に引き上げ、米国鉄鋼株が急騰」
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