コヒレント決算好調も株価24%下落 売上見通しが重荷

  • 2025年8月15日
  • 2025年8月15日
  • BS余話

光学・レーザー技術メーカーのコヒレント(COHR)は2025年第4四半期決算で予想を上回る好業績を発表しましたが、翌日8月14日の午前の段階で株価は24%急落しました。背景には、今後の売上見通しが市場予想を下回ったことがあります。

第4四半期の業績概要

コヒレントの調整後1株利益は1.00ドルとなり、市場予想の0.92ドルを上回りました。売上は15億3,000万ドルで、予想の15億1,000万ドルを上回り、前年同期比16%増加、通期では23%増加となりました。特にネットワーキング部門はAIデータセンター需要の追い風を受け、前年同期比39%増の9億4,500万ドルとなりました。一方、材料およびレーザー部門は合計で前年比8%減少しました。

売上見通しの下振れと事業売却

今回のガイダンス下振れには理由があります。決算発表直前、同社は防衛向けレーザー事業を4億ドルで売却すると発表しました。売却益は37億ドルの負債削減に充てられる予定です。取引完了後、この事業が生み出す四半期あたり約2,000万ドルの売上が失われるため、売上予想の不足はこの要因でほぼ説明できます。

アナリストの評価と株価反応

バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ビベック・アリヤ氏は、売上成長率と粗利益率が予想を上回った点を評価しつつも、成長鈍化と利益率の水準を懸念しました。その結果、目標株価を92ドルから105ドルに引き上げる一方、投資判断は「買い」から「中立」に引き下げました。

AIデータセンター市場と今後の成長要因

2025年の株式市場を牽引している最大のテーマは、世界規模で数千億ドル規模に拡大しているAIデータセンター投資です。コヒレントは高帯域幅の光ネットワーキング技術でこの分野から恩恵を受けています。特にエヌビディア(NVDA)が3月に発表した新型光ネットワーキングスイッチのサプライヤーとして選定されたことは、中長期的な成長ドライバーになり得ます。

光ネットワーキングは銅配線に比べ高速かつ効率的ですが、大規模データセンターでは消費電力が課題となります。エヌビディアの新型スイッチは従来の3.5倍の省電力性能を持ち、この分野の拡大に追い風となる可能性があります。

まとめ

今回の決算は売上・利益ともに市場予想を上回りましたが、防衛レーザー事業売却による一時的な売上減と成長鈍化懸念が株価下落につながりました。それでも、AIデータセンター市場拡大と光ネットワーキング技術の需要増は、同社の中長期的な成長ストーリーを支える可能性があります。

🎧この記事の内容は音声でもお楽しみいただけます。コメンテーター二人のやり取りで分かりやすく解説していますので、ぜひご利用ください。👇

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG