米ネットワーク機器大手のシスコ・システムズ(CSCO)が2025年度第4四半期決算を発表し、売上・利益ともに市場予想を上回りました。背景にはAIインフラ需要の大幅増加があり、特にウェブスケール顧客からの注文は当初計画の2倍以上に達しました。第4四半期のAI関連インフラ注文額は8億ドル超で、前四半期の6億ドル超から伸びています。
売上高は147億ドルで前年同期比8%増、通期では567億ドル(前年比5%増)となりました。調整後1株利益は0.99ドルで、市場予想の0.98ドルをわずかに上回っています。さらに、2社の大口顧客が年間でそれぞれ10億ドル超の発注を行ったことも明らかになりました。
市場の反応は限定的
好調な決算にもかかわらず、株価は時間外取引で一時2%下落。その後持ち直したものの、通期予想が市場予測とほぼ一致したことから、投資家の反応は控えめでした。2026年度第1四半期の売上予想は146億5,000万〜148億5,000万ドル、通期予想は590億〜600億ドルとしています。
アナリストからは「注文成長が鈍化しており、前年同期比の比較が難しくなっている」との指摘もあります。株価は年初来で約20%上昇しており、AIブームの恩恵を受けてきたものの、今後の上昇にはさらなる成長要素が必要との見方も出ています。
今後の注目ポイント
シスコは新年度に向けて、イノベーションへの戦略的投資、持続的で利益率の高い成長、株主価値の向上を重点課題としています。AIインフラ需要の拡大は引き続き追い風ですが、市場は慎重な姿勢を崩していません。今後の株価動向は、AI関連の受注拡大と全社的な成長戦略の実行力にかかっていると言えます。
*過去記事「AI関連の穴場株?シスコが見せる成長ポテンシャル」
🎧この記事の内容は音声でもお楽しみいただけます。コメンテーター二人のやり取りで分かりやすく解説していますので、ぜひご利用ください。👇