米国のステーブルコイン発行企業であるサークル・インターネット・グループ(CRCL)が、上場後初の四半期決算を発表しました。第2四半期の売上は前年同期比53%増の6億5,800万ドルとなり、市場予想(6億4,600万ドル)を上回りました。株価は発表直後に一時7%超上昇しています。主力のUSDコイン(USDC)は米ドルに連動したステーブルコインで、売上の多くは準備金運用による利息収入から得られています。
規制明確化の追い風と市場の見方
今年成立した「ジーニアス法」はステーブルコインの規制を明確化し、同社の成長に追い風となっています。最高財務責任者のジェレミー・フォックス=ジーン氏は、同法について「新しい形態のマネーに明確な規制枠組みを与える重要な一歩」と評価しています。一方で、ウォール街では見方が分かれており、同社をカバーする16人のアナリストのうち7人が買い推奨、5人が中立、4人が売り推奨と評価は割れています。
競争激化への懸念
弱気派の一部は、ジーニアス法の成立によりペイパル(PYPL)、ウォルマート(WMT)、アマゾン(AMZN)など大手企業がステーブルコイン市場に参入する可能性を指摘しています。また、長期的には粗利益率の低下や高い株価バリュエーション(2026年予想EBITDAの約80倍)がリスク要因とされています。
強気派の見解
強気派は、サークルの先行者優位性や、米政府による暗号資産市場への前向きな姿勢を評価しています。特にシーポート・リサーチ・パートナーズのアナリストは、同社を「上場市場で最も純粋なステーブルコイン銘柄」と位置付け、長期的な成長余地を強調しています。また、オッペンハイマーのアナリストは、マネーマーケットファンドや不動産、決済、資本市場など幅広い分野でのブロックチェーン活用機会が期待できると述べています。
投資家への注意点
株価は上場直後の約300ドルから下落しており、短期的なボラティリティや競争環境の変化には注意が必要です。新規上場企業に対する市場の評価が早期に変化している点も、投資判断において考慮すべき要素といえます。
*過去記事「サークル・インターネット株が急騰!暗号資産規制と金利政策の波紋」
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