米メディア「マーケットウォッチ」によると、アドビ(ADBE)がAI時代の競争激化に直面しており、株価下落リスクが指摘されています。調査会社メリウス・リサーチのアナリストであるベン・ライツェス氏は、アドビ株の投資判断を「ホールド」から「売り」に引き下げ、今後の事業環境に警鐘を鳴らしました。
AIがソフトウェア業界を侵食
かつてはソフトウェア企業がAIの恩恵を受けると期待されていましたが、現在はアルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)といった大手に加え、キャンバやフィグマ(FIG)などAIネイティブな新興勢が市場を席巻しています。ライツェス氏は「特に若年層ユーザーは、従来型のクリエイティブスイートより、AI搭載ツールを選ぶ傾向が強まっている」と指摘しています。
アドビのFirefly、収益化に課題
アドビはAI生成ツール「Firefly」を展開していますが、ライツェス氏は「ユーザーが追加料金を払ってまで利用する動機が弱い」として収益化に懸念を示しました。結果として、価格引き上げや新料金プランへの移行が売上成長の柱となる可能性がありますが、この戦略はユーザーの離脱を加速させるリスクがあります。
他のソフト企業にも逆風
同氏は、セールスフォース(CRM)やワークデイ(WDAY)などのSaaS企業も、AIの普及により顧客離れや成長鈍化に直面する可能性を示唆しました。かつてオンプレミス型ハード事業がクラウドに押され衰退したデル(DELL)の事例を引き合いに、大手インフラ企業であるマイクロソフトやオラクル(ORCL)が業界の価値を吸収していくと見ています。
強気な見方も存在
一方で、ゴールドマン・サックスはAIの全製品統合によってアドビの市場規模が400億ドル拡大し、株価が今後12か月で70%上昇する可能性があると予測。また、バーンスタインはAIアプリの普及に伴いコンテンツ需要が増大し、アドビに追い風になると分析しています。
このように、アドビを巡っては悲観論と楽観論が入り混じる状況が続いており、今後のAI戦略の成否が株価動向を左右しそうです。
*過去記事「フィグマがIPOで注目集める中、アドビも見逃せない存在に」
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