2025年8月8日の米国株式市場で、エヌビディア(NVDA)の株価が今年19回目となる過去最高値を記録しました。株価は1.09%高の182.74ドルで引け、時価総額は4.46兆ドルに達しました。年初来では36%、過去52週間では約75%の上昇となっています。今回の上昇には2つの大きな要因があります。
GPT-5発表とAI投資拡大の期待
1つ目の要因は、オープンAIによる新しい人工知能モデル「GPT-5」の発表です。GPT-5は人気の高いチャットボット「ChatGPT」を支える最新モデルで、オープンAIのサム・アルトマンCEOは、パートナー企業としてエヌビディアを名指ししました。純粋な半導体企業として名前が挙がったのはエヌビディアだけであり、AI分野での同社の存在感の高さを示しています。
また、トランプ大統領が提案した半導体輸入に対する100%関税については、米国内で製造する企業に対して広く免除措置が取られる見込みです。エヌビディアは2025年4月に、今後4年間で米国内に最大5,000億ドル規模のAIインフラを構築する計画を発表しており、この点でも成長の追い風となっています。
テスラの戦略変更による需要増加
2つ目の要因は、テスラ(TSLA)のAI関連ハードウェア戦略の変更です。ブルームバーグの報道によると、テスラは自社のDojoスーパーコンピューティングチームと独自のAIトレーニング用チップ開発を終了し、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のハードウェア利用を拡大する方針です。
イーロン・マスクCEOはSNS「X」で、「異なるAIチップ設計を同時にスケールさせるよりも、資源を集中する方が合理的だ」とコメントしました。今後は推論(AIモデルから出力を生成するプロセス)に特化した自社開発チップ「AI5」「AI6」に注力し、AIトレーニング分野ではエヌビディアの製品が引き続き優位性を保つ見通しです。
他の半導体株の動き
同日の取引では、アドバンスト・マイクロ・デバイセズが0.21%高、ブロードコム(AVGO)が0.40%高で取引を終えました。半導体業界全体としてもAI需要を背景に堅調な動きが続いています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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