レアアース最大手MPマテリアルズ、株価200%上昇の理由

  • 2025年8月8日
  • 2025年8月8日
  • BS余話

米国のレアアース採掘・精錬企業であるMPマテリアルズ(MP)は、2025年8月7日に発表した第2四半期決算で市場予想を上回る結果を示し、株価は時間外取引でさらに上昇しました。カリフォルニア州マウンテンパス鉱山を運営する同社は、米中間の貿易摩擦激化を背景に注目度が高まっています。

第2四半期決算の概要

第2四半期の売上高は5,740万ドルで、前年同期の3,100万ドルから大きく増加しました。Ebitda(利払い・税引き・償却前利益)は1,250万ドルの赤字でしたが、市場予想の2,000万ドルの赤字を上回りました。前年同期のEbitdaは2,700万ドルの赤字でした。

時間外取引では株価が10.6%高の78.62ドルまで上昇し、52週高値かつ過去最高値を更新する可能性が出ています。

株価急騰の背景

過去3カ月で株価は約200%上昇していますが、その主因は直近の決算ではなく、米国防総省との大型契約です。7月、国防総省は4億ドルの株式投資に加え、最大3億5,000万ドルの追加資金提供、1億5,000万ドルの融資を決定しました。これにより、米国内でのレアアース磁石製造施設の新設や既存採掘・精錬能力の拡張が進む予定です。

レアアースは民生用から軍事用まで多くの先端技術製品に不可欠であり、中国が世界の精錬能力の約85%を占めています。米国は中国依存を減らす計画を以前から進めており、米中関係の緊張が高まる中でその動きは加速しています。

将来の収益見通し

今回の契約により、MPマテリアルズは2030年までに年間6億5,000万ドル規模のEbitdaを見込めるとされています。2025年は2,000万ドルの赤字見通しですが、将来的には大幅な収益改善が期待されています。

また、磁石事業は第2四半期に1,980万ドルの売上と810万ドルのEbitda黒字を計上し、前年同期から大きく成長しました。同社はアップル(AAPL)やゼネラルモーターズともレアアース供給契約を結んでおり、国防総省以外の取引先拡大も見込まれます。

バリュエーションと投資家の視点

MPマテリアルズの株価は2027年予想Ebitdaの約30倍で取引されており、オーストラリアのレアアース採掘企業ライナス・レアアース(LYC)の約2倍の水準です。このプレミアムは、西半球最大のレアアース採掘企業としての優位性が将来的な事業拡大につながるという投資家の期待を反映しています。

*過去記事「米国レアアース戦略の中心へ MPマテリアルズの未来

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