米商業宇宙企業のファイアフライ・エアロスペース(ティッカー: FLY)が2025年8月7日にナスダック市場へ新規株式公開(IPO)を行い、初日の終値は公開価格を大きく上回りました。初値は1株70ドルと公開価格45ドルから56%高く始まり、その後はやや下げて60ドル強で取引を終え、上昇率は34%となりました。一時は73.80ドルまで上昇し、時価総額は約86億ドルに達しました。
NASAや国防関連との強固な契約
ファイアフライはNASAの「Commercial Lunar Payload Services」プログラムの一員で、今年3月には「ブルーゴースト」月面着陸機が月面着陸に成功しています。7月末には、NASAから2029年に南極地域へ5つのペイロードを輸送する契約(1億7,670万ドル)を新たに獲得しました。
同社はロッキード・マーチン(LMT)、L3ハリス・テクノロジーズ(LHX)、ノースロップ・グラマン(NOC)など大手防衛企業とも契約を結び、米宇宙軍やブルー・オリジン傘下のHoneybee Roboticsとも提携しています。
IPO資金の使い道と成長戦略
今回のIPOで約8億7,000万ドルを調達し、当初計画の1,620万株から1,930万株へと売り出し規模を拡大しました。CEOのジェイソン・キム氏は、NASAとの年間ミッションや宇宙軍・民間顧客との打ち上げに加え、再利用可能な大型ロケット「Eclipse」を2026年後半に初打ち上げする計画を明らかにしています。
宇宙・防衛関連株ブームの追い風
近年、宇宙や防衛関連企業への投資熱が高まっており、IPO市場も回復傾向です。ファイアフライの上場は、デザインソフトのフィグマ(FIG)、ドローン企業のエアロ・グループ・ホールディングス(AIRO)、ステーブルコイン企業のサークル・インターネット・グループ(CRCL)、エヌビディア支援のクラウドAI企業コアウィーブ(CRWV)など、今年成功を収めた新規上場企業の流れに続くものです。
専門家は、地政学的リスクや防衛予算の増加が投資家の関心を後押ししており、ファイアフライの成長余地は大きいと見ています。
*過去記事「宇宙ベンチャーのファイアフライがIPOへ、注目集まる成長企業」
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