2025年8月6日、AI融資企業アップスタート・ホールディングス(UPST)の株価が決算発表後に約19%下落しました。表面的には好調な決算を発表した同社ですが、市場の反応は意外なものでした。
売上・見通しは良好、それでも株価は下落
アップスタートは第2四半期の売上を2億5700万ドルと報告し、2025年通期の売上見通しは105億5000万ドルと市場予想を上回りました。しかし、決算発表後の株価は大きく売られる展開となりました。
その主な理由の一つが、バランスシート上の貸付金の急増です。バークレイズのアナリスト、ラムジー・エル=アサル氏は「新しいプロダクトに関するローンが増えたことが株価下落の要因になった」と指摘しています。アップスタートのCEOデイブ・ジルアード氏は「2025年末までにこれらのローンをバランスシート外に移すことを目指している」と述べています。
利ざやではなく、公正価値評価の影響
もう一つの懸念は、純金利収入の見通しの引き下げです。従来の9000万ドルから6500万ドルへと下方修正されましたが、これは利ざやの悪化ではなく、評価額の変動によるものとされています。
モルガン・スタンレーのジェームズ・フォーセット氏は、「新規ローン発行の加速が投資家の期待を押し上げ、それが結果的に株価の変動を大きくしている」とコメントしています。
一部アナリストはポジティブな評価も
一方で、同社がGAAPベースでの黒字化を計画より早く達成した点については評価する声もあります。ジェフリーズのジョン・ヘクト氏は、「平均貸付額の低下と手数料率の減少は、より広範な市場獲得戦略の現れ」とし、アップスタートの進化を評価しています。
また、与信モデルの改善により、より少額の融資を多くの消費者に提供できるようになったこともポジティブな材料です。
慎重な見通しながらも安定した経済環境
アップスタートの通期ガイダンスは市場予想を上回るものでしたが、経営陣はあくまで慎重な姿勢を示しています。ヘクト氏は「マクロ経済環境は安定しており、保守的な予想が含まれている可能性もある」と述べています。
決算は決して悪くないものの、投資家の高すぎる期待が株価に重しとなった形です。成長企業にとって、予想を上回ることだけでは十分でない難しさが浮き彫りとなりました。
*過去記事はこちら アップスタート UPST
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