2025年8月6日、米メディア大手のディズニー(DIS)が2025年4-6月期の決算を発表し、アナリスト予想を上回る好調な利益と今後の見通しを示しました。同時に、スポーツ配信サービス「ESPN」の強化につながる2つの大型契約も明らかにしましたが、株価は3.3%下落し、114.43ドルで取引されています(米国東部夏時間11:00現在)。
投資家の利益確定売りや一部の懸念材料が市場の反応を左右したと考えられます。
EPSは市場予想超え、ガイダンスも引き上げ
ディズニーは、2025年4-6月期の調整後1株利益が1.61ドルとなり、アナリスト予想の1.45ドルを上回りました。さらに、通期の1株利益予想を5.85ドルに引き上げ、これも市場予想(5.80ドル)をわずかに上回る形となりました。
また、今後の成長が期待される「ダイレクト・トゥ・コンシューマー(DTC)部門」および「パークス&エクスペリエンス部門」に対する利益見通しも引き上げられました。
売上は予想未達、エンタメ部門の利益減も影響
一方で、売上高は前年同期比2%増の236億5000万ドルとなりましたが、アナリスト予想の236億9000万ドルにはわずかに届きませんでした。エンターテインメント部門の営業利益は15%減の10億2000万ドルとなり、ディズニー・スタジオは赤字を計上しました。
こうした「見た目の数字の悪さ」が一部の投資家にとって利益確定のタイミングとなった可能性があります。
ESPNがNFLネットワークを取得、スポーツ配信強化へ
ディズニーはまた、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)との戦略的提携を発表しました。この合意により、ESPNはNFLネットワークを取得し、8月21日に予定されている新しいストリーミングプラットフォームに統合される予定です。
さらに、「レッドゾーン」の配信権も獲得。これにより、日曜午後に行われる全試合のライブアクションを視聴者に届けることが可能になります。今回の提携に伴い、ディズニーはESPNの10%の持ち分をNFLに譲渡しました。
WWEとも16億ドル超の独占契約を締結
ディズニー傘下のESPNは、TKOグループ(TKO)と提携し、2026年からプロレス団体WWEの主要イベント(レッスルマニア、サマースラムなど)を独占配信する16億ドル以上の契約を締結しました。これにより、スポーツコンテンツの拡充がさらに進むと期待されます。
株価下落の背景には「材料出尽くし感」も
株価が下落した背景には、過去数カ月での急騰による反動もあります。ディズニーの株価は、トランプ大統領による4月2日の関税発表で市場が動揺した後、4月8日から上昇基調に転じ、8月初旬までに約45%上昇していました。動画配信大手のネットフリックス(NFLX)も同期間に32%上昇しており、S&P500も26%の上昇を記録しています。
つまり、好決算や明るい将来性が示された一方で、「材料出尽くし」と見なされ、一部の投資家が利益確定に動いたと考えられます。
まとめ
ディズニーは、今後の成長エンジンとなるDTCとパーク部門で好材料を提供し、スポーツ配信においてもESPNの強化に向けた具体的な動きを見せました。短期的な株価の反応は軟調となりましたが、中長期的にはこれらの戦略が収益拡大につながる可能性があります。
今後のESPN新サービスのローンチと、スポーツコンテンツ拡充の成果に注目が集まります。
*過去記事はこちら ディズニー DIS
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