2025年8月6日、モバイルアプリ向け広告事業を展開するアプラビン(APP)が第2四半期決算を発表しました。売上・利益ともに市場予想を上回る結果となりましたが、発表後の時間外取引で株価は一時6.9%下落しました。
広告テック事業が急成長、売上は前年比77%増
アプラビンは、第2四半期にアプリ事業を売却し、急成長する広告テクノロジー(アドテック)部門に注力しました。アナリストが注目するこの部門の売上は12億6000万ドルと、前年同期比で77%の増加となり、市場予想の12億2000万ドルを上回りました。
また、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は10億2000万ドルと前年から99%増加し、こちらもウォール街の予想を上回りました。
フリーキャッシュフローはやや弱く、自社株買いは減少
一方で、フリーキャッシュフローは7億6800万ドルとやや軟調でした。その影響からか、第2四半期の自社株買いは3億4100万ドルと、第1四半期の12億ドルから大幅に減少しています。それでも希薄化後の発行済株式数は前四半期比で0.8%減少しました。
第3四半期の見通しは上方修正
アプラビンは、第3四半期の売上および調整後EBITDAの見通しについて、市場予想を上回るガイダンスを提示しました。この点ではポジティブな材料となっています。
核心市場はゲームだが、非ゲーム分野への拡大も加速
アプラビンの主要顧客はモバイルゲームスタジオですが、非ゲーム系アプリ向けの広告収益も急速に伸びています。同社はアプリの成長を支援する広告配信と、アプリ内広告を組み合わせた2面性のビジネスモデルを持ち、これが高く評価されています。
さらに、コネクテッドTV向けの動画広告事業「Wurl(ワール)」を立ち上げ、新たな収益源の開拓も進めています。これはアプラビンとは別ブランドとして展開しており、動画広告市場への進出を目指す動きです。
CEOの自信と成長戦略
CEOのアダム・フォロウギ氏は決算説明会で、「ゲーム市場だけでも年率20〜30%の成長を維持できると確信している」と述べた上で、「今はそれ以上に、コア市場以外への拡大機会に非常に興奮している」と語りました。
「このモデルがわずかな市場浸透でもこれだけの成果を出せるなら、中小企業全体を対象としたときに何が起きるか想像してみてほしい」と語り、今後の成長余地に自信を見せました。
アナリストの評価と目標株価
アナリストの平均評価は「オーバーウェイト(強気)」で、目標株価は485ドルとされています。長期的な成長余地に期待がかかる一方、短期的にはキャッシュフローや自社株買いの鈍化が株価の重しとなったと考えられます。
このように、決算自体は非常に力強い内容でしたが、株価はやや期待先行で動いていたため、フリーキャッシュフローの弱さなどが失望材料となった可能性があります。長期的には非ゲーム分野への進出が成功すれば、株価の再上昇も十分にあり得る展開といえそうです。
*過去記事「アプラビン決算で広告収入71%増!時間外取引で株価13%急騰のワケ」
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