米国のヘルステック企業フリージア(PHR)が、ついに安定的な黒字転換を果たし、成長期待が高まっています。バロンズが2025年8月6日に公開した記事では、同社のビジネスモデルと今後の成長ポテンシャルに注目が集まっていることを報じています。
医療現場のデジタル変革を支える存在
フリージアは、病院や診療所など医療機関向けに患者の受付業務や情報入力などをデジタルで効率化するプラットフォームを提供しています。2019年の上場以降、クライアント数を約3倍に拡大し、2024年には全米の患者訪問の約7分の1にあたる1億7000万件以上を同社のシステムが処理しました。
プラットフォームは単なる受付機能にとどまらず、予約、患者とのコミュニケーション、支払いまでを包括するもので、利用者にとって利便性が高く、医療機関にとっても業務効率を大きく改善するツールとなっています。
安定収益構造とAI活用による差別化
収益の半分近くはサブスクリプションによるもので、安定した収益基盤を構築しています。さらに、患者の自己負担金などの支払いを処理する決済ソリューションが収益の約25%を占めており、利用が増えるほど売上が拡大する構造です。
また、製薬会社向けに提供する広告ネットワークも差別化要素として注目されています。10大製薬企業すべてがフリージアのターゲティング広告を利用しており、同社はプライバシーに配慮したかたちで患者に健康情報を届けています。これは従来のマスメディア型広告とは一線を画すアプローチです。
加えて、近年ではAIの導入を積極的に進めており、プラットフォーム全体で業務効率や顧客満足度の向上につながる機能を提供しています。
黒字転換と成長加速の見通し
2025年度第1四半期の売上は前年同期比で15%増の1億1600万ドルとなり、フリーキャッシュフローも4四半期連続でプラスを維持しています。EBITDAは過去12カ月で5400万ドルと、前年のマイナス1800万ドルから大きく改善しました。
2026年1月期には、EBITDAが8500万〜9000万ドルに達する見込みで、前年から138%の増加が見込まれています。営業費用の効率化が寄与しており、事業規模拡大に伴う収益性の向上がうかがえます。
アナリストも強気の評価
調査会社スティーブンスのアナリスト、ジェフ・ガロ氏は「より大きな営業レバレッジが期待できる」と述べ、目標株価を32ドルに設定しています。これは現在の株価27.10ドルから18%の上昇余地を示唆しています。
また、別のアナリストであるアーロン・キムソン氏も、好調な業績と2.5百万株の自社株買いプログラムを評価し、マーケットアウトパフォームの評価を継続しています。
リスク要因と今後の展望
一方で、競合にはルーマ・ヘルスのような小規模企業や、エピック・システムズ、オラクル・ヘルスといった大手も存在します。市場シェアの減少や収益鈍化があれば、投資家の期待を裏切る可能性がある点には注意が必要です。
それでも、医療業界のデジタル化が加速する中で、フリージアのような「純粋なヘルステック企業」には大きな成長の余地があり、現在のバリュエーション(2026年予想EPSベースでPER約27.7倍)も合理的と評価されています。
テクニカル面での見通し
株価は2024年11月から2025年2月にかけて79%上昇し、その後は高値圏で推移しています。上値抵抗線である30ドルを突破すれば、2026年前半に43ドルを目指す動きとなる可能性があるとテクニカルアナリストのダグ・ブッシュ氏は分析しています。
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