2025年8月5日、原子力技術企業のBWXテクノロジーズ(BWXT)の株価が急騰し、過去最高値を記録しました。背景には、NASAが月面に原子炉を設置する計画を加速させているとの報道があります。
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月面原子炉計画に関するNASAの最新動向
報道によれば、NASAの暫定長官ショーン・ダフィー氏が、少なくとも出力100キロワットの原子炉を月面に設置するための提案依頼書(RFP)を新たに発行するよう指示したとのことです。2030年度第1四半期までに打ち上げ準備を整えることを求める内容も含まれています。
これまでにもNASAは「Fission Surface Power Project」として、小型の核分裂炉の設計に取り組んできました。過去の目標では、6トン未満の重量で40キロワットの発電能力を持つ設計が想定されており、実現時期は2030年代初頭とされていました。
BWXテクノロジーズの実績と期待
BWXテクノロジーズは、NASAや米国エネルギー省と協力して核熱推進システムの設計を進めてきた実績があります。2023年には、DARPAとNASAが連携する「DARCO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)」プロジェクトにも選ばれ、原子炉および燃料の提供を担当することが決まりました。
これらの背景から、同社が月面原子炉プロジェクトの主要パートナーになるとの期待が高まり、株価は一時前日比で18%以上上昇する場面も見られました。
宇宙開発競争の激化と地政学リスク
NASAの計画には、米中間の宇宙開発競争が大きく関係しています。2024年以降、中国とロシアは共同で月面原子炉を設置する計画を発表しており、アメリカが先行できなければ「立ち入り禁止区域」が宣言される可能性もあると懸念されています。
このような状況下、アメリカは「アルテミス計画」を通じて有人月面探査を推進しており、原子炉設置の前倒しはその一環とみられています。
投資家への注目点
宇宙と原子力という2つのテーマが交差する今回の動きは、BWXテクノロジーズのような企業にとって大きなビジネスチャンスとなります。月面での持続可能な活動を支えるインフラとしての原子力技術は、今後も成長余地が大きいと期待されています。
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