クラウド投資に変化の兆し?ビッグテックの売上成長が巨額の設備投資に追いつく

2025年8月4日、米メディア「The Information」は、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)などのビッグテック企業が進めてきたクラウド事業への巨額投資に関し、そのリターンがようやく見え始めているという分析を紹介しました。

※この記事の内容は音声でもお楽しみいただけます。記事の内容をコメンテーター二人のやり取りでより分かりやすく解説していますので、記事の最後をご覧ください。

売上成長が設備投資と並走し始めた

2023年から2024年にかけて、マイクロソフトやアルファベット、アマゾンのクラウド部門の売上成長は、設備投資の増加ペースには遠く及びませんでした。しかし直近12カ月では様子が変わってきました。

マイクロソフトは設備投資が前年比38%増となった一方、Azureの売上も34%増加。アルファベットも設備投資が35%増、クラウド売上は31%増と、売上成長が設備投資に近づいています。

投資家の間では「巨額の支出の回収は可能なのか」という懸念がつきまとっていましたが、現時点では一定の成果が表れてきていると言えます。

AIがクラウド投資を後押ししているか?

クラウド3社はAI関連需要の急増を理由に、今後も積極的な投資を続ける方針です。マイクロソフトCFOのエイミー・フッド氏は、同社の設備投資は「契約済みの案件に基づくもの」と明言。契約済みのバックログは3680億ドルに達しています。

アルファベットCFOのアナット・アシュケナジ氏も、2025年の設備投資を850億ドルへと上方修正しました。背景にはAI製品・サービスへの強い需要があります。

メタ・プラットフォームズ(META)も例外ではなく、同様にサーバーやデータセンターへの巨額投資を進めています。ただし、メタにはアマゾンやマイクロソフトのようなクラウド収益源がなく、将来的なAIサービス基盤としての期待が先行する形です。

AIの「訓練」から「日常利用」へ

注目すべきは、AIの利用形態が変化していることです。以前はオープンAIやアンソロピックといった企業が、モデルの学習用途で一時的にクラウドを使用するケースが主でしたが、現在では一般ユーザーや開発者による日常的な利用が急増しています。

例えば、ChatGPTの週次アクティブユーザーは7億人を突破し、オープンAIは2025年のキャッシュ消費予測を80億ドルに引き上げました。その大部分はマイクロソフトのサーバー利用料です。

アンソロピックも、AIコーディングツールの超ヘビーユーザーに対しては利用量に応じた課金への移行を開始しました。マイクロソフトもGitHub Copilotのユーザー数がわずか3カ月で500万人増加するなど、開発現場でのAI利用が広がっています。

今後の焦点は「持続的な収益化」

クラウド各社の設備投資は、2023年以降の2年間でマイクロソフトが174%、アルファベットが138%、アマゾンが95%増加。メタも70%増と、巨額投資が続いています。総額は4社合計で6000億ドル以上に上ります。

ただし、こうした投資は減価償却コストの増大を招き、利益率の低下を引き起こしています。マイクロソフトが今年に入って1万人超の人員削減を行ったのも、この構造的なコスト増への対応といえるでしょう。

今後は、こうしたAI・クラウド関連の投資がどれだけ安定した収益成長につながるかが最大の焦点となりそうです。

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