米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が8月2日に四半期決算を発表しました。2025年4〜6月期(第2四半期)の営業利益が前年同期比で4%減少し、112億ドルとなったことが明らかになっています。
クラフト・ハインツ株の減損処理を実施
同社は、保有するクラフト・ハインツ(KHC)株に関して38億ドルの減損処理を実施しました。これは同社が27%の持分を持つ企業であるため「持分法」で会計処理しており、帳簿価額と市場価値の差を修正する形となります。クラフトは現在、食品事業の見直しを進めており、バークシャーはすでにクラフトの取締役会からも撤退しています。
為替損が営業利益を圧迫
営業利益は減少したものの、為替差損を除けば実質的な利益は前年同期比で約8%増加しているとの試算も示されています。為替差損は、同社が発行した円建て債券に関連するもので、税引き後8億7,700万ドルの損失が発生しました。
株式自社買いは停止中、キャッシュ残高も微減
バークシャーは第2四半期中および7月前半に自社株買いを一切行っておらず、5月以降は実施されていないとのことです。6月末時点の現金・現金同等物は3,440億ドルで、3月末から40億ドルの減少となりました。
バフェット氏、年内でCEO退任へ
同社株は5月の年次株主総会をピークに10%以上下落しており、その要因のひとつとして、バフェット氏が年末で最高経営責任者(CEO)を退任する意向を表明したことが挙げられます。ただし、会長職には留まる予定です。
鉄道やエネルギー部門は好調、GEICOも高水準の利益
傘下の鉄道事業「バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)」は、売上がわずかに減少したにもかかわらず利益が15%増の15億ドルとなりました。自動車保険のガイコも、利益率16.5%という高水準の収益を維持しています。保険引受部門全体では20億ドルの利益を計上し、投資収益は34億ドルに増加しました。
株式ポートフォリオは売り越し続く
同四半期にバークシャーは株式の買いよりも売りを多く行い、純売却額は30億ドルに達しました。買いは40億ドル、売りは70億ドルとなり、ポートフォリオ全体の評価額はクラフト・ハインツやオキシデンタル・ペトロリウムの株式を含めると2,900億ドルに達します。
今後の注目点は?
バークシャーの株価は現在、1株あたり簿価の1.5倍程度で取引されており、過去の平均水準に戻った形です。今後は自社株買いの再開や、日本企業への投資を目的とした円建て債の動向、そして鉄道業界での買収戦略が注目されるかもしれません。
まとめ
バークシャーの第2四半期決算は、為替差損による一時的な減益を除けば、安定した成績を維持しているように見受けられます。一方で、クラフト・ハインツ株の評価損や、株主還元姿勢の後退、バフェット氏の退任など、不透明要因も残る中で、今後の戦略が注目されます。