2025年夏、米国株式市場においてIPO(新規株式公開)への注目が再燃しています。特に注目を集めているのが、デザインソフト企業フィグマ(FIG)、ステーブルコイン企業サークル・インターネット・グループ(CRCL)、そしてAIインフラを提供するクラウド企業コアウィーブ(CRWV)です。
フィグマ、上場後も株価上昇が継続
7月31日に上場したフィグマは、初日に株価が急騰しただけでなく、翌8月1日も市場全体が下落する中で5%を超える上昇を記録しました。投資家の間でその将来性に対する期待が高まっていることがうかがえます。
*関連記事「フィグマ株が上場2日目も上昇、終値122ドルで時価総額594億ドルに」
サークルは上場後に約5倍、コアウィーブも人気化
6月に上場した暗号資産関連のサークルは、上場以来株価が約5倍に達し、今や市場の注目銘柄となっています。
*関連記事「IPO後10倍に急騰したサークル株、過熱感をアナリストが警告」
また、3月に上場したコアウィーブは、当初こそ貿易摩擦への懸念で苦戦したものの、AI関連銘柄として再評価され、IPO価格から2倍以上に上昇しました。
*関連記事「コアウィーブが再び社債発行!AIクラウド巨人の資金戦略とは」
アンビック・マイクロなどの中小型案件も活発に
注目の大型IPOに隠れがちですが、小型半導体企業アンビック・マイクロ(AMBQ)も今週上場し、株価は公開価格から一時2倍近くに跳ね上がるなど、勢いのある市場を象徴しています。
*関連記事「アンビックがIPO初日に株価74%急騰、エッジAIの成長市場に照準」
ソフトウェア、半導体、バイオテックが主戦場に
2025年に入ってから8月1日までに123件のIPOが実施され、前年同期比で48%の増加となっています。IPO申請企業も前年から21%増の139社となっており、特にソフトウェア、半導体、バイオテクノロジーといった高成長分野が中心です。
今後の注目銘柄とIPO候補
来週には宇宙開発のファイアフライ・エアロスペース、医療画像のハートフロー、データセンター企業ホワイトファイバーなどが上場予定です。また、後半にはクラーナ(Klarna:後払い決済)、スタブハブ(StubHub:チケット売買)、データブリックス(Databricks:AIスタートアップ)、キャンバ(Canva:フィグマの競合)といった話題性のある企業のIPOも期待されています。
*関連記事「月面着陸を成功させたファイアフライ・エアロスペース、IPO準備を本格化」
一方で勢いに乗れないIPOも存在
すべてのIPOが成功しているわけではなく、マグロウ・ヒル(MH:教育出版)、NIQグローバル・インテリジェンス(NIQ:消費者調査)、オーラ・ミネラルズ(AUGO:金銅鉱山)など、成長性に乏しい業種の企業は市場からの反応が鈍くなっています。
AIブームがIPO市場を後押し
マイクロソフトやアップル、メタといった巨大テック企業の好決算が続き、AI関連の期待も高まっていることが、IPO市場全体の追い風となっています。大型テックの成功が、次の成長企業への投資マインドを支えている状況です。
今後のIPO動向に注目しつつ、分野やビジネスモデルごとの明暗にも目を向けることが重要になりそうです。