2025年8月1日、米メディア「マーケットウォッチ」は、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の株価が決算発表後に急落した背景について報じました。記事によると、クラウド部門「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の成長がライバルであるマイクロソフトやグーグルと比べて見劣りしたことが、投資家の不安材料となっています。
ライバル企業との成長格差が明確に
AWSの第2四半期売上は309億ドルで、前年同期比17.5%の増加でした。これは市場予想通りの結果であり、第1四半期の成長率(16.9%)からはわずかに加速しています。しかし、マイクロソフト(MSFT)のAzureやアルファベット(GOOGL)傘下のGoogle Cloudが大きく予想を上回る成長を記録したのとは対照的でした。
こうした比較の中で、AWSの成長が鈍化しているとの印象を与え、市場ではアマゾンがAIブームの恩恵を十分に受け切れていないのではないかとの懸念が浮上しました。
AI投資と資本支出の拡大が焦点に
アマゾンは同四半期に314億ドルという巨額の設備投資を実施しました。前四半期の243億ドルから大幅に増加しており、年間では1,200億ドル規模に達する可能性もあります。これは、AI関連インフラへの継続的な投資を示すものですが、それに見合った収益拡大が見られない点が問題視されています。
バーンスタインのアナリストは、「AWSは依然としてクラウドの王者であるが、AIを燃料にAzureとGoogle Cloudが急追している」と指摘しています。
経営陣は冷静な姿勢を強調
アマゾンCEOのアンディ・ジャシー氏は、成長速度について「四半期ごとの一時的なものであり、AWSは引き続き市場のリーダーである」と説明しました。また、セキュリティ機能が他社と比べて優位に立っていることも強調しています。
一方で、GPUの割り当てについては「競合と比較して優先度が低いとは感じていない」との見解を示し、AIインフラにおける劣後感を否定しました。
株価急落も業績全体は好調
今回の決算では、リテール事業の業績が非常に良好で、利益見通しも上方修正されました。しかしながら、AWSの成長鈍化が全体の評価を上書きし、8月1日午前の取引では約8%の下落となりました。
UBSのアナリストは、成長率が17%で「期待に届かなかった」とされているが、実際には市場の高めの期待値との差は1,000万ドル程度に過ぎないと指摘し、株価の反応は過剰だとの見方を示しています。
まとめ
AWSの成長鈍化は短期的な懸念材料となっていますが、アマゾン全体としては依然として多くの強みを保持しています。今後のAI関連インフラ投資の成果がどのように表れるか、AWSが再び高成長を取り戻せるかが、投資家にとって注目点となりそうです。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN