2025年7月31日、アップル(AAPL)は2025年度第3四半期の決算を発表しました。売上・利益ともに市場予想を上回る好調な内容で、アフターマーケットで株価が上昇しました。本記事では決算のポイントとCEOティム・クック氏の発言、今後の見通しについてまとめます。
EPS・売上ともに市場予想を上回る
アップルは1株当たり利益(EPS)を1.57ドルと発表し、アナリスト予想の1.43ドルを大きく上回りました。売上は前年同期比で増加し、940億ドルに達しました。これは予想の893.5億ドルを超える水準です。iPhoneの売上は445.8億ドルと予想の400.9億ドルを上回り、MacやiPadも好調でした。
サービス部門が過去最高を記録
アップルのサービス部門の売上は274.2億ドルとなり、過去最高を記録しました。Apple MusicやApp Storeを含むこのセグメントは前年比13%の成長を達成し、アナリスト予想の268.2億ドルを上回りました。CEOのティム・クック氏は「iPhone、Mac、サービス部門で2桁成長を達成し、全地域で売上が増加した」と述べています。
中国市場での回復も確認
中国市場での売上は154億ドルとなり、前年同期比で5%の増加となりました。アナリスト予想の149億ドルも上回っています。地政学的リスクが懸念される中、中国での成長は投資家に安心感を与えました。
インストールベースが過去最高に
最高財務責任者(CFO)のケヴァン・パレク氏は、アップルの全製品カテゴリとすべての地域においてインストールベース(稼働中のデバイス数)が過去最高に達したと明かしました。これはブランドの強さとエコシステムの堅牢性を示す重要な指標です。
関税によるコストは引き続き懸念材料
関税に関する発言では、クック氏が「第3四半期には約8億ドルの関税コストが発生したが、予想の9億ドルよりは少なかった」と説明しました。さらに、第4四半期には約11億ドルの関税影響が見込まれており、貿易政策の動向が今後の業績にも影響を与える可能性があります。
また、クック氏はトランプ大統領の政策によって導入されたセクション232に触れ、同社製品の多くが現在のところ高関税の対象外であると説明しました。現在、アメリカで販売されるiPhoneの大半はインド製、MacやiPad、Apple Watchはベトナム製であるとしています。
9月期の売上ガイダンスも市場予想を上回る見通し
CFOのパレク氏は、9月期の売上成長率が前年比「中〜高シングル」の伸びを見込んでいると述べました。このガイダンスは、アナリスト予想の976億ドル(前年比+2.8%)を上回る可能性があると受け止められ、株価は時間外で最大3%上昇しました。
生成AIの影響にも注視
検索行動の変化についての質問に対し、クック氏は「生成AIによって検索の在り方が進化しているが、当社の検索サービスは依然として高い価値があると考えている」とコメントしました。今後も消費者行動の変化を注視していくとしています。
このように、アップルは主力製品とサービスの好調により市場予想を上回る決算を発表し、今後の見通しもポジティブな内容となりました。一方で、関税や生成AIによる検索行動の変化といった外部要因も注視する必要があります。
*過去記事はこちら アップル AAPL