アマゾン決算は好調でも株価は下落、その理由とは?

2025年7月31日、米投資情報メディア「バロンズ」は、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の第2四半期決算に関する詳細なレポートを公開しました。この記事では、売上・利益ともに市場予想を上回ったにもかかわらず、アフターマーケットで株価が6%超も下落した背景が解説されています。

EPS・売上ともに好調な結果を記録

アマゾンの2025年第2四半期の1株当たり利益(EPS)は1.68ドルとなり、ファクトセット調べの市場予想(1.33ドル)を大きく上回りました。前年同期の1.26ドルからも大幅な増加です。売上も前年比13%増の1,680億ドルに達し、予想の1,620億ドルを上回る堅調な数字でした。

投資家が失望したのは第3四半期の見通し

一方で、株価は決算発表後の時間外取引で6.2%下落しました。バロンズによれば、その理由は第3四半期の営業利益見通しが期待外れだったためです。売上予測は力強い一方で、利益率には懸念が残りました。

特に注目されているのが、2025年中に段階的に実施される米国の関税政策です。4月に平均2.4%だった関税率は、6月には10%にまで引き上げられました。このコスト上昇が、今後の収益性に影響を与える可能性があります。

AWSは引き続き収益の柱だが、利益率は低下

アマゾンのクラウド事業であるAmazon Web Services(AWS)は、売上が前年比17%増の310億ドルと堅調でした。AWSはアマゾン全体の売上の18%を占めるにとどまるものの、営業利益の53%を生み出しています。

しかし、営業利益率は前年の35.5%から32.9%へと低下しました。CFOのブライアン・オルサフスキー氏は、株式報酬のタイミングや設備投資による減価償却費の増加が要因と説明しています。

設備投資がアマゾンの財務に与える影響

2025年前半だけでアマゾンは560億ドルの設備投資を行っており、下期にも約600億ドルの支出が見込まれています。AI関連のクラウド需要に応えるためのデータセンター投資に加え、小売向けの倉庫や配送車両、ロボットへの投資も含まれています。

小売・広告・サブスク事業も好調

AWS以外の小売・広告・サブスクリプションなどの分野でも、アマゾンは好業績を記録しました。小売部門は売上1070億ドルで前年から11%増加。広告やプライム会員などのその他セグメントも合計280億ドルとなり、前年同期比で18%増加しています。特に広告は22%の伸びを記録しました。

営業利益率は6.6%で、予想の4.7%を大きく上回る内容でした。

今後の焦点はコスト構造と利益率

バロンズの記事では、AWSの成長維持と利益率の回復、関税によるコスト圧力、小売・広告分野の成長持続性が、今後のアマゾンの株価を左右する重要な要素であると指摘されています。

投資家にとっては、目先の利益よりも中長期的な設備投資とクラウド戦略がどこまで成果につながるかが注目される局面と言えそうです。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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