ビザが好決算でも株価下落、その理由とは?

  • 2025年7月30日
  • 2025年7月30日
  • BS余話

決済大手ビザ(V)は2025年7月29日、消費支出の堅調な伸びを反映した第3四半期(4-6月期)の決算を発表しました。売上・利益ともに市場予想を上回ったものの、株価は時間外取引で一時2.3%下落し、投資家の高い期待に応えきれなかった形となりました。
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売上・利益ともに予想超え

第3四半期の売上は101.7億ドルで前年同期比14%増加し、市場予想の98.5億ドルを上回りました。調整後1株利益は2.98ドルと前年同期から23%の増加となり、こちらも予想(2.85ドル)を上回っています。

CEOのライアン・マキナーニー氏は声明で、「裁量支出・非裁量支出のいずれのカテゴリーにおいても消費は堅調」と述べ、7月の初週においても支出の勢いが継続していると強調しました。

支出傾向は引き続き「レジリエント」

決済総額は前年同期比で8%増加し、前四半期と同様の成長率を維持しました。米国では6月よりも7月の前半3週間の方が決済の伸びが強く、国内消費の底堅さを裏付けています。

また、国際間取引(クロスボーダー)も12%増加しており、旅行や越境ECなどの分野が回復を示しています。欧州内取引を除いた場合でも、11%の成長となりました。処理された取引件数も前年同期比で10%増と、全体的に強い需要が見られます。

株価下落の背景は「過剰な期待」

これだけ好調な数字が並んでも、株価が下落した理由は投資家の「高すぎる期待」にあります。次四半期について、ビザは「売上は高いシングル~低い二桁成長、調整後EPSは高いシングル成長になる」と予想しましたが、アナリストは売上10%増、EPS11%増を予測しており、それに届かないガイダンスと見なされました。

決算自体には大きなネガティブ材料はないものの、市場が求める“さらに上”の成長が示されなかったことで、失望売りが出たと考えられます。

高成長の裏に潜むリスク

他の決済企業も同様の状況に直面しています。たとえば、アメリカン・エキスプレス(AXP)やペイパル(PYPL)も好決算を発表しましたが、いずれも株価は下落しました。業績の良し悪しよりも、どれだけ「期待に応えたか」が株価に影響を与えているという、市場心理の難しさが際立ちます。

今後の注目点

ビザは引き続き安定成長を見込んでいますが、マクロ経済や地政学的リスクに対する警戒も必要です。特に、今後の利上げ動向や消費者心理の変化が、裁量支出に影響を与える可能性があります。

長期的には、ビザの強固な決済インフラとクロスボーダー需要の回復が、成長を下支えする要素となりそうです。

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