2025年7月29日付の米投資情報メディア「バロンズ」は、スターバックス(SBUX)が発表した2025年第3四半期決算について詳細に報じました。同社は売上こそ市場予想を上回ったものの、1株当たり利益は期待を下回り、既存店売上の減少が明らかとなったことで、市場関係者の間に不安が広がっています。
売上は増加も、既存店売上はマイナス
スターバックスの第3四半期の売上は95億ドルと前年同期比で4%増加し、アナリスト予想(92.9億ドル)を上回りました。しかし、調整後1株利益は50セントにとどまり、予想の64セントには届きませんでした。前年同期は93セントだったことを考えると、利益面では大幅な減益となっています。
特に注目すべきは既存店売上の減少で、世界全体で2%のマイナス、米国内でも同様に2%減少しました。北米市場では来店客数が4%減少しており、スターバックスの店舗運営に課題が浮き彫りとなっています。
CEOは改革の進展を強調
CEOのブライアン・ニコル氏は、ビデオメッセージや決算発表の中で「改革は予定よりも進んでいる」と述べ、2026年には「革新の波」を起こす計画であると強調しました。具体的には、プロテイン入りコールドフォームやココナツウォーターを使った紅茶、新しいエナジードリンクなど、次四半期に向けた新メニューを投入する予定です。また、リワードプログラムの再構築も進めており、「一律の割引」から「本当のロイヤルティを生む仕組み」への転換を目指しています。
コスト増と競争激化が重しに
一方で、人員増強やホスピタリティ向上への投資が進む中、人件費の上昇も利益を圧迫しています。モーニングスターのアナリストは「今後数四半期は利益の乱高下が見込まれる」と指摘しており、今年の同社の営業利益率は前年同期から590ベーシスポイント低下し6.9%となりました。
また、中国市場では現地の競合であるラッキン・コーヒーの台頭により、スターバックスのシェアが押されています。中国国内に7,700店舗を展開するスターバックスは、価格引き下げなどで対抗していますが、第2四半期の同国における既存店売上は前年比で8%減少しました。
投資家の期待と現実のギャップ
株価は発表後の時間外取引で5.2%上昇しましたが、年初来では約1.9%の上昇にとどまっており、S&P500が8.6%上昇している中では出遅れ感が否めません。アナリストの中には、80ドルまで株価が下落するリスクがあると警告する声も出ています。また、ブラジル産品に対する関税の影響も懸念材料で、原価率の上昇や利益率の低下が懸念されています。
スターバックスは「地域コミュニティのハブ」としての役割を重視し、店内のリニューアルやマグカップ提供、バリスタによる手書きのメッセージといった取り組みも始めていますが、こうした変化が業績に反映されるまでには時間がかかる可能性があります。
同社が再びグローバルな成長軌道に乗るには、さらなる収益の見直しか、時間をかけた基盤強化が求められそうです。
*過去記事「スターバックス株が急落!決算ミスと再建計画の真相とは?」