2025年7月31日に予定されているフィグマ(FIG)の新規株式公開(IPO)が、シリコンバレーの著名投資家やベンチャーキャピタル(VC)にとって大きなリターンをもたらす見通しです。米メディア「The Information」が伝えた内容によると、初期投資家として名を連ねるシェリル・サンドバーグ氏(元メタ幹部)やジェフ・ウィーナー氏(元リンクトイン CEO)、そしてGreylock PartnersやKleiner Perkins、Index Venturesといった著名VCが巨額の利益を手にする見込みです。
初期投資家が手にする巨額のリターン
フィグマは2013年に創業し、デザインツールを提供するソフトウェア企業として急成長を遂げました。今回のIPOでは、1株あたり32ドルの高値で評価されれば、時価総額はおよそ187億ドルに達する可能性があります。
中でも注目されているのが、初期ラウンドに投資したIndex Ventures、Greylock Partners、Kleiner Perkinsの3社で、各社はそれぞれ16億ドル以上の利益を得ると見られています。シェリル・サンドバーグ氏とジェフ・ウィーナー氏も、Iconiq Capitalを通じた投資で数億ドルの評価益を手にする見通しです。
フィグマ創業者の人脈とビジョン
フィグマのCEOディラン・フィールド氏は、大学中退後すぐに資金調達を開始し、著名投資家や技術者たちとの人脈を活かして成長を遂げてきました。同氏の初期プレゼンでは、3Dボールが水中に浮かぶデモを見せるなど、フィグマの技術力を直感的に伝える工夫もあり、投資家の支持を得ました。
他の有力VCの動きと“逃した魚”
今回のフィグマ上場は、GreylockやKleiner Perkinsにとっても近年最大級のリターンとなりそうですが、すべてのVCが恩恵を受けたわけではありません。たとえば、フィールド氏が大学時代に関係を持っていたLightspeed Venture PartnersやFounders Fundなどは、初期の段階で出資を見送っており、フィグマへの投資機会を逃しています。
一方で、Sequoia Capitalは2019年のシリーズCから参加し、総額1億2000万ドルを投資した結果、約11億ドルの持ち分を保有するに至っています。かつては「ブラウザでデザインするという発想は、金融業界でExcelを捨てろというようなもの」として懐疑的だった同社も、後にその評価を大きく改めました。
アドビ買収失敗からの復活
かつてアドビ(ADBE)がフィグマを200億ドルで買収する計画を発表していましたが、その取引は後に白紙となりました。しかし今回のIPOにより、市場での独立成長路線が再び注目されており、2021年以来で最も多くのベンチャー投資家が恩恵を受ける上場案件になると見られています。
今後の株価推移やロックアップ期間後の売却動向にも注目が集まりそうです。
*過去記事「フィグマがIPOで注目集める中、アドビも見逃せない存在に」