2025年7月28日、米メディア「マーケットウォッチ」は、ナイキ(NKE)株が大幅に上昇した背景について、JPモルガンによる投資判断の格上げと2026年に北米で開催予定のサッカーW杯が大きく関係していると報じました。
「Just Buy It」――アナリストが強気の評価
JPモルガンのアナリストであるマシュー・ボス氏は、同社株について長らく中立評価を維持してきましたが、今回「オーバーウェイト(買い)」に格上げし、目標株価を64ドルから93ドルへと大幅に引き上げました。これは現在の株価から約19%の上昇余地を見込んでいます。
ボス氏は、ナイキの成長には「5つの柱」からなる回復シナリオがあると分析しています。2026年までにグローバル在庫と売上成長のバランスが取れる見通しで、2026年春夏には卸売の受注も回復に向かうとしています。
サッカーW杯が追い風に
注目すべきは、2026年に米国・カナダ・メキシコが共同開催するサッカーW杯です。この国際大会が、ナイキのグローバル販売にとって大きな追い風となると見られています。さらに、ランニングシューズやパフォーマンス重視のグローバル製品群の新開発も進められており、売上高と平均販売価格の向上が期待されています。
また、バスケットボールやトレーニング分野における強化も、ブランド価値の向上とともに収益性の改善に寄与すると分析されています。
利益率の回復と経営陣の自信
JPモルガンは、2026年度に一時的に落ち込むと予想される営業利益率(5.3%)が、2028年には再び10%台まで回復し、さらにその後はパンデミック以前の12~13%水準まで戻る可能性もあると見込んでいます。
なお、これらの予測はナイキ経営陣との対話や直近の決算内容をもとに立てられており、今後の新商品戦略と在庫管理の進展がカギを握るとされています。
株価はすでに反発基調に
ナイキ株は2025年4月に8年ぶりの安値を記録して以降、6月末の決算発表後から急回復し、すでに47%以上の上昇を見せています。2025年の年初来では3.5%の上昇にとどまっているものの、今回の格上げを受けて今後さらなる上値が意識される展開になりそうです。