米国最大手の仮想通貨取引所を運営するコインベース・グローバル(COIN)の株価がこの数か月で急騰する中、一部アナリストが「利益を確定すべき時期に来ている」との見方を示しました。7月28日付で米メディア「マーケットウォッチ」が報じた内容を紹介します。
過去の推奨から急騰したCOIN株
アナリストのガス・ガラ氏(モネス・クレスピ・ハート)は、2か月前の5月に同社株を「買い」と評価し、目標株価を300ドルと設定していました。当時の終値は207.22ドルでしたが、その後株価は急上昇し、わずか6週間で目標を突破。6月20日には308.38ドルを記録し、7月18日には419.78ドルの史上最高値に達しました。
ガラ氏はこの急騰を受けて、7月28日に評価を「中立」に引き下げ、目標株価も撤回。今後の株価には過熱感があるとして、「一度利益を確定すべき」と顧客向けメモに記しています。
仮想通貨の追い風と業績期待
この2か月間、コインベースには複数の好材料がありました。S&P500指数への採用、ステーブルコイン決済プラットフォームの発表、そして米国での仮想通貨関連法「Genius Act」の成立などです。ビットコイン(BTC)価格も過去最高を更新し、同社株の上昇を後押ししました。
とはいえ、同社株の値動きはすでにビットコインとの連動性からやや乖離しており、5月のガラ氏による格上げ以降は相関係数が0.80まで低下しています(過去2年の平均は0.89)。
決算発表を前に投資家の判断分かれる
コインベースは7月31日に第2四半期決算を発表予定です。ファクトセット調べのアナリスト予想によれば、1株当たり利益は前年同期の14セントから1.33ドルへ急増、売上は10.4%増の16億ドルが見込まれています。
ただし、過去5回の決算発表翌日にはすべて株価が下落しており、平均で6.6%の下げとなっています。今期も例外とは限らず、決算の内容次第で株価の調整が起きる可能性もあります。
アナリストは再評価のタイミングを模索
ガラ氏は、今後の評価見直しは株価が「過熱から冷静さを取り戻した時」と述べており、仮想通貨市場の実需や取引量が再び拡大しない限り、現在の高水準を正当化するのは難しいと見ています。
コインベース株を保有している投資家にとって、今回の指摘は一つの判断材料といえます。好調な業績や規制面での追い風が続く中、短期的な天井感が意識され始めていることは確かです。