今週注目の米ビッグテック決算!AI投資競争で「安全圏」脱却なるか

2025年7月最終週、アメリカの代表的なテック企業が続々と四半期決算を発表します。AIへの巨額投資が続く中、ウォール街では「より大胆な戦略が必要」との声も強まっています。本記事では、今週決算を控えるマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アップル、アマゾンを中心に、企業ごとの注目ポイントを解説します。

マイクロソフト: AzureとAIへの期待高まるも課題も残る

マイクロソフト(MSFT)は、クラウド事業「Azure」に対する高い成長期待とともに、AI関連収益にも注目が集まっています。UBSのアナリストは、Azure売上の約22%がAIワークロードによるものと見積もっており、今後もこの割合は高まると予想されています。

一方で、今年実施された大規模な人員削減や、出資先であるオープンAIとの契約見直しを巡る報道も懸念材料です。アナリストの間では「結末は不透明だが、マイクロソフトへの信頼が勝っている」といった意見も見られます。

*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT

メタ: AI人材獲得とスーパーハードルへの挑戦

メタ・プラットフォームズ(META)は、マーク・ザッカーバーグCEOの主導で、AIスーパーインテリジェンス構築を目指す「ゲームオン」体制に入っています。エンジニア採用への積極投資も話題となっており、オープンAIやグーグルとの競争に本格参戦する姿勢が明確になっています。

ただし、広告関連のAI活用に偏重しているという指摘もあり、今後は動画生成、マルチモーダルAI、ハードウェア開発、自律型エージェントAIなど、よりリスクの高い分野への挑戦が求められています。

*過去記事 メタ・プラットフォームズ

アップル: 保守的なAI戦略に変化を求める声

アップル(AAPL)はこれまでAI分野での主導権争いに出遅れているとの見方が根強くあります。メリウス・リサーチのアナリストは「アップルは不確実性を受け入れ、大胆なAI推進戦略を打ち出すべきだ」と指摘しています。

ティム・クックCEOが今後の決算説明会で、iPhoneを中心とした製品群へのAI統合をどのようにアピールするかが注目されます。

*過去記事はこちら アップル AAPL

アマゾン: クラウドの制約と保守的な利益見通し

アマゾン(AMZN)はクラウド部門「AWS」がAI関連の成長を支える一方で、計算リソースの制約が収益性に影響しています。バンク・オブ・アメリカは、AWSの業績とともに、第3四半期の利益見通しに投資家の関心が集まると分析しています。

EC事業では引き続き好調が見込まれていますが、コスト圧力や関税リスクが企業全体の収益に影響を与える可能性も指摘されています。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

その他の注目決算企業と消費動向

今週はマイクロソフト、メタ、アップル、アマゾンに加え、合計164社のS&P500企業が決算を発表します。消費者支出やサプライチェーンの動向を占う上で重要な企業が多数含まれています。

  • ビザ(V)、マスターカード(MA)、ペイパル(PYPL):決済大手の3社は、消費者支出のトレンドを反映した決算内容が期待されています。
  • モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)、ハーシー(HSY)、クラフト・ハインツ(KHC):生活必需品の企業は、インフレと消費者信頼感の変化を示す重要な指標となります。
  • ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)、コインベース・グローバル(COIN):リテール投資や仮想通貨市場の動向に注目が集まります。
  • スポティファイ(SPOT)、レディット(RDDT)、シェイクシャック(SHAK):消費者の「新しさ」への関心を測る企業としても重要です。

消費者の心理と今後の市場動向

消費者の支出は「能力」ではなく「意思」が鍵となっており、「お得感」「革新性」「新鮮さ」が求められていると、ネーバーガー・バーマンのアナリスト、ケビン・マッカーシー氏は述べています。

関税の影響は8月1日の交渉期限を前にまだ織り込まれていない部分も多く、企業のコスト転嫁能力や消費者の耐性が問われるタイミングとなりそうです。

今週の決算発表は、AI投資競争が本格化する中での「脱・コンフォートゾーン(安全圏)」が各企業に求められている象徴的な週となります。投資家としても、この動きにどう向き合うかが問われています。

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG