減量薬戦争に新星現る?バイキング・セラピューティクスが描く逆転劇

  • 2025年7月25日
  • 2025年7月25日
  • BS余話

2025年7月24日、バイオ医薬品企業バイキング・セラピューティクス(VKTX)の株価が決算発表を受けて下落しました。第2四半期の赤字拡大が嫌気されたものの、同社が開発中の経口型減量薬は、将来的にイーライ・リリー(LLY)やノボ・ノルディスク(NVO)にとって競合となる可能性があります。

減量薬市場に参入する注目のバイオ企業

現在、米国で減量薬としてFDAの承認を受けているのはイーライ・リリーとノボ・ノルディスクのみです。しかしながら、バイキングを含む複数の企業がこの市場への参入を目指しており、競争が激化しつつあります。

バイキングが注力しているのは、注射ではなく経口投与タイプの減量薬です。特にVK2735と呼ばれる候補薬に注目が集まっており、8月には重要な臨床試験結果の発表が予定されています。これまでの研究では、4週間で平均8.2%の体重減少が確認されており、高い効果が期待されています。

参考までに、リリーの注射型治療薬Zepboundは72週間で20.2%、経口型のOrforglipronは40週間で7.9%の減量効果が報告されています。

業績は赤字拡大も、財務体質は安定

第2四半期の損失は1株あたり58セントとなり、アナリスト予想の45セントよりも大きな赤字となりました。これは臨床試験などの研究開発費が前年同期比で約150%増加し、6,020万ドルに達したことが主な要因です。

ただし、同社は現在市場に出ている製品を持たない臨床段階のバイオテック企業であり、財務的には安定しています。第2四半期末時点での現金残高は8億800万ドルに上り、今後3年以上の運営資金を確保していると見られています。

アナリストは将来性を評価、買収候補としての見方も

ジェフリーズのアナリスト、ロジャー・ソン氏は、バイキングがペプチドインクレチン系の薬剤において「最もリスクが少ない安全性プロファイル」を持つと評価し、小型から中型のバイオ企業の中でもリーダー的存在としています。株価の目標を従来の110ドルから101ドルに引き下げたものの、依然として「買い」評価を維持しています。現在の株価が約33ドルであることを考慮すると、101ドルの目標株価は約206%の上昇余地がある計算になります。

また、ウィリアム・ブレアのアナリスト、アンディ・シェイ氏は、株を「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を80ドルに設定しています。こちらも現在の水準から約142%の上昇余地となっています。

経口タイプの減量薬が主流になるとの見方もあり、今後バイキングが大手製薬企業による買収対象となる可能性も指摘されています。

減量薬市場は今後も注目のセクターに

注射から経口へと進化を遂げる減量薬市場では、バイキング・セラピューティクスのような企業が今後の成長をけん引する可能性があります。短期的には赤字拡大が株価にネガティブに作用しているものの、臨床試験結果や開発進展次第では、大手に対抗する新たなプレイヤーとなるかもしれません。

今後のVK2735のデータ発表に注目です。

*過去記事「バイキング・セラピューティクスが製造契約を締結し株価上昇!減量薬VK2735の市場投入に前進

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