メタが引き起こす「AI人材戦争」、1億ドルの報酬で激化する新レース

2025年7月25日、米メディア「バロンズ」は、メタ・プラットフォームズ(META)を中心としたAI人材獲得競争の激化について報じました。エヌビディアのGPUや巨大なデータセンター、電力インフラへの投資が注目される中、AI開発を担う人材の価値が急騰している現状が浮き彫りになっています。

ザッカーバーグの「パラノイア」が動かすメタのAI戦略

メタのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、1996年にインテル元CEOアンディ・グローブ氏が著書で語った「成功の種は破壊の種にもなりうる」という思想に影響を受け、常に外部の脅威に目を光らせています。過去にはInstagramやWhatsAppといった脅威を早期に買収し、競争回避に成功しました。

そして今、ザッカーバーグ氏はAIという新たな転換点に直面し、メタの年間キャッシュフロー約910億ドル(2024年)を使ってAI分野への大胆な投資を進めています。2025年のAIデータセンター投資額は約700億ドルにのぼると見られますが、メタはそのすべてを社内利用に充てており、クラウドサービスとは一線を画しています。

スケールAI買収で注目された「人材」目的の投資

メタは、スタートアップ企業スケールAIの49%を約140億ドルで取得しました。これにより、創業者であるアレクサンダー・ワン氏を新設の「スーパーインテリジェンス部門」の責任者に迎え入れました。スーパーインテリジェンスとは、あらゆる知的タスクを人間以上にこなせるAIの究極形です。

この買収直後、スケールAIはレイオフを発表しており、「企業の買収ではなく、ワン氏という人材の獲得」が主目的だったのではないかと市場では見られています。

年収100万ドルでも「序の口」?AI開発者の価値が爆発的に上昇

2024年の米国民間ソフトウェア開発者の平均年収は18.3万ドル、最高額は110万ドルとされています。しかし、メタが提示した契約金はさらに桁違いです。報道によれば、メタはオープンAIから人材を引き抜く際、1億ドル規模の契約金を提示したとされます。

オープンAIのサム・アルトマンCEOも、ポッドキャストの中でこの動きを認めています。メタはこの他にも、トップクラスのAI研究者を10人以上採用しており、実際にLinkedInなどで数名の移籍が確認されています。

人材確保が「AIの勝者」を決める時代へ

メタのCTOアンドリュー・ボズワース氏は、現在の人材獲得競争について「自身の20年のキャリアで前例のない水準だ」と語っています。グーグルやマイクロソフト、そしてオープンAIなども同様に高額な報酬を提示しており、スタートアップ企業にとっては非常に高い参入障壁となってきました。

AIインフラだけでなく、人材も限られた資源であることが明らかになりつつあります。今後は、どの企業が最高の人材を獲得し、最先端のモデルを生み出せるかが、新たな競争軸となる可能性が高いと見られています。

*過去記事「メタがオープンAI研究者を大量採用!AI覇権争いの最前線

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG