2025年7月24日に発表されたインテル(INTC)の第2四半期決算は、売上が市場予想を上回った一方で、多額のリストラ費用による損失も明らかになり、投資家の反応は複雑なものとなりました。
売上は予想超え、クライアントとAI事業が牽引
インテルの第2四半期売上は129億ドルで、前年とほぼ横ばいながらも、アナリスト予想の120億ドルを上回りました。中でもクライアントコンピューティング事業が79億ドル、データセンターおよびAI部門が39億ドルと、いずれも市場の期待を超える内容でした。
しかしながら、調整後の1株当たり損失は10セントと、1セントの利益を予想していた市場予想を大きく下回り、決算発表後の時間外取引ではインテル株は4.3%下落しました。
リストラ費用が重荷、赤字は29億ドルに
今回の決算で注目されたのは、約15%の人員削減によって発生した19億ドルのリストラ費用です。これらは調整後の利益には含まれませんが、GAAPベースでは29億ドルの赤字となりました。さらに、8億ドルの資産減損と2億ドルの一時的費用も加わり、損失を押し上げました。
CEOのリップ・ブー・タン氏は声明で「業務効率の改善が進展しており、AI製品の強化に注力している」と語り、長期的な競争力と株主価値の向上に向けた姿勢を示しました。
第3四半期見通しは明暗入り交じる
インテルは第3四半期の売上見通しを126億〜136億ドルと発表し、中央値が市場予想の127億ドルをやや上回っています。ただし、1株利益については「損益トントン」とし、4セントの黒字を予想していた市場とのギャップが生じました。
注目の18Aプロセスとファウンドリ戦略
今後の鍵を握るのが、インテルが開発を進めている次世代チップ製造プロセス「18A」です。CEOのタン氏は、18Aが次世代のクライアントおよびサーバー製品の基盤になると説明しました。また、米政府向けのプロジェクトでも重要な役割を果たすとしています。
さらに、次世代の「Intel 14A」については、インテル製品だけで十分な投資回収が困難なことから、外部顧客との連携が必要であるとの見解も示されました。
市場の注目は戦略転換に
インテルの業績自体もさることながら、市場関係者の関心は同社の今後の戦略に向けられています。特にAI分野での出遅れや、ファウンドリ(受託製造)事業の今後など、構造的な課題への対応が問われています。
バンカメのアナリストは、18Aの立ち上げやエンタープライズ向けの買い替えサイクルが、当面の支援材料になり得るとしつつも、競合のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やエヌビディア(NVDA)との競争、AIアクセラレーターの不足といったリスクも指摘しています。
今後の展望:AI戦略の発表に注目
タンCEOは今後数カ月でAI戦略を発表すると予告しており、AI推論やエージェンティックAI(意思決定を支援するAI)に焦点を当てる方針です。これが市場の信頼回復につながるかどうかが、今後の株価動向を左右する大きなポイントとなりそうです。
*過去記事「インテル株が急騰、背景に大規模レイオフ計画」