2025年7月24日付の米メディア「マーケットウォッチ」は、アルファベット(GOOGL)が年間の設備投資計画を大幅に引き上げたと報じました。この動きが、他の巨大テック企業にも波及し、AI関連支出の新たな波を引き起こす可能性があると伝えています。
年間設備投資額は850億ドルへ拡大
アルファベットはこれまでの設備投資見通し750億ドルを850億ドルに引き上げました。特にAI向けインフラの拡張に重点を置いており、直近の四半期では設備投資の約3分の2がサーバー関連に、残りの3分の1がデータセンターやネットワーク機器に向けられたとのことです。
AI需要が逼迫する中、グーグルクラウドは2025年を通じて供給制約が続くと見られており、こうした支出の拡大が不可欠と判断されたようです。
エヌビディアやブロードコムにも追い風
AIインフラの中心を担うのは、もちろんチップベンダーたちです。アルファベットはエヌビディア(NVDA)のブラックウェル GPUをクラウド用に確保しているほか、ブロードコム(AVGO)とはカスタムチップの共同開発も行っています。今回の投資計画拡大は、こうした半導体企業の売上にも大きな追い風となる可能性があります。
税制優遇が投資拡大を後押し
ローゼンブラットのアナリストによれば、今回の設備投資増額100億ドル分は、2025年の加速償却による税控除でほぼ全額カバーできる可能性があるとのことです。
モルガン・スタンレーのアナリストも、「One Big Beautiful Bill Act」と呼ばれる税制改革法案によって、アルファベットは最も恩恵を受ける企業の一つだと指摘しています。Deferred Tax Asset(繰延税金資産)の減損処理を早期に行えるようになり、キャッシュフローの柔軟性が高まる見通しです。
他のテック大手にも波及の可能性
今後の注目点は、この動きがアマゾン(AMZN)やメタ・プラットフォームズ(META)にも波及するかどうかです。両社も同様の税制メリットを段階的に享受できる見通しであり、設備投資の増加が見込まれています。
アマゾンは研究開発費の規模が大きく、2026年には最大150億ドルのフリーキャッシュフロー増加につながる可能性があるとされています。またメタは、数十万台のエヌビディア製GPUを用いたマルチギガワット級のデータセンター群を建設中で、AI広告やメッセージング領域でもAI活用を進めている点が紹介されています。
おわりに
税制改革を追い風に、アルファベットが先陣を切ってAIインフラ投資を大幅に拡大させたことは、今後のテクノロジー業界全体の設備投資トレンドに大きな影響を及ぼす可能性があります。アマゾンやメタの決算発表が予定される来週には、さらに注目が集まりそうです。
*過去記事 アルファベット GOOGL