2025年7月23日に発表されたインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)の第2四半期決算は、売上・利益ともに市場予想を上回る内容でしたが、発表直後の時間外取引では株価が一時5%下落しました。その要因として、投資家の期待を上回る“上振れ”が見られなかったソフトウェア部門の内容が指摘されています。
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ソフトウェア部門は「予想通り」 上昇相場の中で物足りなさも
IBMのソフトウェア部門は同社最大の収益源であり、第2四半期の売上は74億ドルで前年比10%増と健闘しました。しかし、市場予想に対して「上振れ」とはならなかったことで、決算発表直後の株価には売り圧力がかかりました。
AIやクラウドなど成長分野に積極投資を続けるIBMに対しては、より高い期待が集まっていたと考えられます。これまで2025年に入り株価が28%上昇していたこともあり、わずかな期待外れでも調整のきっかけとなった可能性があります。
Red Hat事業は加速中 成長への道筋は維持
投資家の注目を集めていたRed Hat(ハイブリッドクラウド事業)は、第2四半期に前年比16%増(為替調整後で14%増)と成長を加速。これは第1四半期の12~13%増から改善した結果であり、IBMが掲げるAIとクラウド基盤戦略が進行している証左とも言えます。
また、CEOのアービンド・クリシュナ氏は、生成AIビジネスの売上が75億ドルに到達していると明らかにし、「深いイノベーションと業界専門性こそがAI導入を推進するカギ」と語っています。
フリーキャッシュフローの見通しは上方修正
IBMは今回、通期のフリーキャッシュフロー見通しを「135億ドル超」へ引き上げましたが、一方で売上成長見通しは「5%以上(為替調整後)」と従来通り据え置かれています。このあたりも、成長加速を期待する投資家にとってはやや物足りなく映った可能性があります。
中長期では注目継続 AI・クラウド・M&A戦略に注目
バンク・オブ・アメリカBは決算前のレポートで、IBMを「収益成長が改善しつつあるディフェンシブ銘柄」と位置付けており、今後のキャッシュフロー拡大によりM&A戦略が再加速する余地があると評価しています。
株価は短期的に調整を迎えたものの、Red Hatや生成AIといった成長事業、コンサルティングやインフラの堅調な業績、そして潤沢なキャッシュフローといった基盤に支えられ、IBMは中長期的な注目銘柄として引き続きウォッチしておく価値がありそうです。