2025年7月23日、米AIクラウド企業コアウィーブ(CRWV)は、17.5億ドルの無担保シニアノートを発行すると発表しました。金利は年9%で、以前の発行時の9.25%から若干引き下げられています。償還期限は2031年で、今週25日に発行が完了する予定です。
この社債発行は、2025年中に複数回予定されているうちの一つにすぎません。
急成長を支える資金調達戦略
コアウィーブは、AI関連投資の拡大を追い風に、2025年第1四半期に売上高を前年比420%増という驚異的な成長を記録しました。しかし、その急拡大を実現するためには巨額の設備投資が不可欠であり、それを支える手段として社債発行を繰り返しています。
2025年の年間設備投資額は200億〜230億ドルを見込んでおり、第1四半期の支出はわずか14億ドルにとどまっています。残りの9カ月間で180億ドル以上を費やす必要があるため、追加で80億〜110億ドル規模の社債発行が行われる見通しです。
負債増加と流動性の現状
2025年3月末時点で、コアウィーブの負債総額は120億ドル、流動性資産は57億ドルに達していました。その後、5月にも30億ドルの社債を発行しており、今回の追加発行と合わせて急ピッチで資金調達を進めています。
また、2025年中に満期を迎える既存の26億ドルの社債についても、更新や借り換えの必要があります。これにより、年内の調達総額はさらに膨らむ可能性があります。
売上成長の原動力は大型顧客
売上の約7割を占めるのがマイクロソフト(MSFT)との契約であり、今後の成長においても同社の需要が鍵を握っています。加えて、他の大手顧客との新規契約も進んでおり、収益基盤の多様化も進んでいます。
株価は上場以来2倍以上に上昇
コアウィーブの株価は、2025年3月の上場以降224%上昇しており、同期間のナスダック100指数(NDX)の上昇率20%を大きく上回っています。AI関連のインフラ需要拡大が、投資家の期待を大きく引き上げている状況です。
今後の注目ポイント
今後、コアウィーブがどのタイミングで追加の社債発行を行い、どのような条件で資金を調達するかが、株価の動向やAIインフラ市場全体にとって重要な指標となります。AIブームの恩恵を最大限に生かすためには、資金調達とキャッシュフロー管理のバランスが問われる局面となりそうです。