2025年7月21日、米国を代表する株価指数であるS&P500が6,304ポイントで取引を終え、過去最高値を更新しました。これで年初来の最高値更新は10回目となり、4月に貿易摩擦で弱気相場寸前まで下落した局面を乗り越え、7%超の上昇を記録しています。
年末に向けたさらなる上昇に期待
市場調査会社DataTrekによれば、過去の傾向を踏まえると「7月が年間のピークとなる可能性は低い」とのことです。1980年以降、S&P500がその年の最高値を記録した月のデータを見ると、4分の3近くが第4四半期に集中しており、特に12月が最も多くなっています。
DataTrekの共同創業者ニコラス・コラス氏は、「S&P500が今年のピークを迎えるのは第4四半期になる可能性が高い」とコメントしています。
歴史が示す強気相場のパターン
S&P500は、年間平均で約10%の上昇を続けてきた実績があり、多くの年で時間とともに徐々に上昇していく傾向があります。実際、1980年以降の45年間で、12月に最高値をつけた年は24回にのぼります。10月と11月もそれぞれ4回ずつありました。一方で、7月にピークを迎えたのは1990年の一度のみです。この年は、8月のイラクによるクウェート侵攻により市場が急落し、年間では3%のマイナスで終えました。
さらに、年間の最高値を第4四半期に記録した年の平均リターンは約20%に達しており、投資家にとってはポジティブな材料と言えるでしょう。
不安材料もありつつ、市場は楽観ムード
もちろん、トランプ大統領による関税発言や、地政学リスクといった不確実要素も存在しています。特に8月1日には新たな貿易合意の期限が控えており、注目が集まります。
とはいえ、最近の経済指標では雇用やインフレに明るい兆しも見られており、市場では「トランプ氏は土壇場で強硬策に出ない」とする“TACO(Trump Always Chickens Out)”という見方が広がっています。
これまでの歴史に照らし合わせると、2025年のS&P500は年末にかけてさらに高値を更新する可能性があります。投資家としては、過去のパターンと現在の経済状況を踏まえつつ、冷静に市場を見守っていくことが求められそうです。