2025年7月23日、発電機器大手のGEベルノバ(GEV)が第2四半期決算で市場予想を上回る業績を発表し、株価はプレマーケットで6%近く昇しました。同社は2024年4月にGEエアロスペースから分離上場して以来、株価が約3倍となっており、投資家やウォール街からの注目度が急上昇しています。
予想を上回る好決算とガイダンス引き上げ
GEベルノバは2025年第2四半期に、売上91億ドル、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)8億ドル、1株当たり利益1.86ドルを記録しました。市場予想(売上88億ドル、EBITDA 7億2100万ドル、EPS 1.51ドル)をいずれも上回る結果となりました。
さらに、同社は通期見通しを従来の上限付近に引き上げ、2025年の売上見通しを360億~370億ドル、EBITDAを29億~33億ドルとの数字を再確認しました。市場の2025年EBITDA予想は32億ドルとされており、強気な見方が裏付けられた形です。
受注好調で成長持続に期待
第2四半期の受注額は124億ドルと売上を大きく上回っており、将来の成長への期待が高まっています。特に、天然ガス発電向けのガスタービンの大型契約を複数獲得しており、その一部は2029年の納品を予定しています。
第1四半期末時点のバックログ(受注残高)は1230億ドルで、前年末の1190億ドルから増加していました。今回の受注増により、さらなる積み増しが見込まれます。
AIによる電力需要拡大が追い風に
GEベルノバが注目される背景には、米国における電力需要の急増があります。アメリカのAI関連インフラ投資が加速する中、アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)などが膨大な計算能力を必要とするデータセンターを建設しています。
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、アンドリュー・オビン氏によれば、米国の電力需要は2014年から2024年までの年間平均成長率0.5%から、2024年から2035年には2.5%へと加速すると見込まれています。これは約800ギガワット相当の発電容量追加を意味し、GEベルノバのハードウェア・ソフトウェア製品に対する需要拡大に直結します。
懸念材料は風力事業の先行き
ただし、すべてが順風満帆というわけではありません。2025年7月4日に可決された共和党主導の大型税制・歳出法案「One Big Beautiful Bill Act」により、米国内の風力発電税控除は段階的に廃止されることになりました。これにより、2026年までの風力発電案件の駆け込み需要は期待されるものの、2027年以降の出荷減少リスクも指摘されています。
とはいえ、風力分野の逆風はすでに市場で織り込み済みとされており、今回の「ビート&レイズ」型の決算が株価にどう影響するかが注目されます。
株価の反応と市場の見方
オプション市場では、決算発表を受けたGEベルノバ株の値動きが5%前後になると予測されていました。実際、過去4四半期の平均値動きは3%で、そのうち3回は上昇しています。
短期的には利益確定売りが出る可能性もありますが、長期的にはAIと電力インフラ需要の拡大が続く中で、同社の成長ストーリーは今後も注目を集めると考えられます。
*過去記事「米国株2025年Q2総まとめ:勝者と敗者はこの銘柄」