2025年7月22日付の米メディア「バロンズ」は、今後2週間で予定されている巨大テック企業の決算発表が、S&P500のラリー継続にとって試金石になる可能性があると報じています。特に注目されているのは、グーグル親会社アルファベット(GOOGL)の決算です。
マグニフィセント・セブンと市場全体への影響
アルファベット、マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)、メタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン(AMZN)、アップル(AAPL)、エヌビディア(NVDA)から成る「マグニフィセント・セブン」は、S&P500構成銘柄の約3分の1の時価総額を占めています。これらの企業の株価は、4月初旬以降で平均41%上昇し、S&P500全体の値上がり幅の2倍近くに達しています。
こうした背景には、AI関連の設備投資の急増があります。特に情報技術と通信サービスの2セクターは、第2四半期におけるS&P500全体の利益の3分の1近くを占める見通しです。
巨大IT企業のAI投資は継続するか
バロンズによると、アルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフト、そしてオラクル(ORCL)は、2025年のAI関連を中心とした設備投資を前年比41%増の3,690億ドルに拡大すると予想されています。これは、S&P500構成銘柄の残り493社の投資成長率(4%)を大きく上回っています。
特にグーグルの投資は顕著で、バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジャスティン・ポスト氏は、同社の2025年の設備投資が757億ドルと前年比44%増加すると予測しています。
ただし2026年以降は投資ペースが鈍化するとの見方もあり、AI投資からの実際の収益化が遅れている可能性も示唆されています。
AI投資が波及するセクターに注目
バンク・オブ・アメリカの米国株ストラテジスト、サビータ・スブラマニアン氏は「AIへの設備投資は、市場全体にとって個別銘柄の収益化以上の追い風である」とコメントしています。
AIの恩恵を受けるのは半導体セクターにとどまりません。データセンター構築による電力需要の増加や、冷却装置、電化、建設資材といった物理的インフラの需要も拡大し、ユーティリティや素材、エネルギーセクターにも波及すると見られています。
ブラックロックのインベストメント・インスティチュートも、AIはソフトウェア、ヘルスケア、フィンテック、製造業など幅広い分野を変革すると予想しています。
AI革命は第2の産業革命か
ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は、AI関連の支出が今後3年間で2兆ドルに達するとし、その影響はエヌビディアのような半導体企業だけでなく、エコシステム全体に広がると述べています。同氏の試算では、エヌビディアに1ドル投資されるごとに、周辺分野で8〜10ドルの追加支出が見込まれるとのことです。
19世紀後半の電化、20世紀後半のインターネット革命に続き、21世紀のAI革命はグローバル経済の主軸となる可能性があります。今後発表されるテック企業の決算内容が、こうした構図を裏付けるか注目が集まります。