オクロとバーティブが提携!AIデータセンターに核の力を

  • 2025年7月22日
  • 2025年7月22日
  • BS余話

2025年7月22日、米国の核エネルギーベンチャーであるオクロ(OKLO)が、データセンター向け冷却装置の大手のバーティブ・ホールディングス(VRT)と提携したことが報じられました。AI時代における電力と冷却の需要増に応える先進的な取り組みとして注目を集めています。

データセンター冷却に原子力の熱を活用

両社は共同で、オクロの小型モジュール炉(SMR)から発生する熱エネルギーを、データセンターの冷却システムに活用する技術の開発を進めると発表しました。最初のパイロットプロジェクトは、アイダホ国立研究所に建設予定のオクロの「オーロラ・パワーハウス」で実施される予定です。

このシステムは、発電だけでなく、余剰の蒸気と熱エネルギーを活用することによって、高効率かつ安定した冷却ソリューションを目指しています。AIや高性能コンピューティング(HPC)環境においては、安定した電力と冷却が不可欠なため、大きなインパクトが期待されています。

小型原子炉によるコンパクトで高効率なエネルギー供給

オクロの小型原子炉は、従来の大型炉に比べて発電量は小さいものの、建設と展開の柔軟性が高いとされています。わずか1グラムの核燃料で石炭や石油の100万倍ものエネルギーが得られるというエネルギー密度の高さが特徴です。さらに、排出される二酸化炭素はゼロで、廃棄物も最小限に抑えられる点も利点です。

また、稼働率の高さも強みとされており、米国エネルギー省によると原子力は92%以上の稼働率を誇り、風力(35%)や地熱(74%)を大きく上回ります。これは、電力供給の安定性が求められるデータセンターにとって大きな利点です。

AI時代のエネルギー課題に向けた先進的な提携

バーティブのCEOであるジョルダーノ・アルベルタッツィ氏は、「AIデータセンターの巨大な電力需要に応えるには、代替エネルギーとの協力が不可欠」と述べており、今回の提携はマルチメガワット級のデータセンターを対象とした革新的な取り組みとして位置づけられています。

オクロ側も、この取り組みが将来的に他のプロジェクトにも応用可能なテンプレートになることを見据えているとしています。先週、米原子力規制委員会(NRC)へのライセンス申請前の準備評価が完了したと発表しており、年内の正式申請提出に向けたステップを着実に進めています。

株価は年初来で大幅上昇、しかし一部アナリストは慎重姿勢

同日、オクロの株価は発表を受けてプレマーケットで0.5%上昇しました。2025年に入ってから株価はすでに194%上昇しており、過去12カ月では7倍近い値上がりを見せています。

一方で、すべてのアナリストが楽観的な見方をしているわけではありません。Craig-Hallumのエリック・スタイン氏は、規制および商業化のタイムラインに対する懐疑的な見方を理由に、先月同社の株を「ホールド」に格下げしました。

おわりに

再生可能エネルギーの限界が指摘される中、安定的かつクリーンな原子力が新たな注目を集めており、今回のオクロとバーティブの提携はその可能性を示す重要な事例といえそうです。AIやHPCの普及が進むなか、データセンターの電力と冷却ニーズをどう支えるかという問いに対するひとつの答えとなるかもしれません。

*過去記事「小型原子炉スタートアップのオクロ、株価急騰の裏に潜む不確実性

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