クアルコムCEOが描く“新たな成長戦略”とは?AIと多角化で未来を拓く

  • 2025年7月21日
  • 2025年7月21日
  • BS余話

半導体企業であるクアルコム(QCOM)の株価は、過去1年で20%以上下落しています。しかし、同社のCEOであるクリスティアーノ・アモン氏は、今まさに“新しいクアルコム”を創り上げようとしています。

今回は、2025年7月19日付のバロンズ記事で語られたアモンCEOの戦略とビジョンをもとに、クアルコムの成長ドライバーと株式投資の視点を整理してみます。

スマホからスマート産業へ:クアルコムの成長領域

かつてクアルコムは、スマートフォン向けの無線通信技術やSnapdragonチップで知られていました。しかしアモンCEOは「それは過去のビジネスだ」と明言し、現在の成長エンジンは半導体チップだと強調しています。

すでにクアルコムのチップは、スマートウォッチやスマートグラス、さらには自動車にも搭載されており、今後はエネルギー、流通、製造業など多様な業界との連携が進んでいくと見られています。

米中貿易摩擦への備えと中東でのAI戦略

2025年4月、トランプ大統領が発表した関税政策「リベレーション・デー」により、多くのテック企業の株価が下落。クアルコムも一時的に20%下げましたが、その後は回復基調にあります。

アモン氏は「関税の直接的な影響は今のところない」と語り、同社のサプライチェーンの多様性と米国内での生産体制(サムスンやTSMCとの連携を含む)を強調しています。

さらに注目すべきは、アモン氏が2025年5月にトランプ大統領とともにサウジアラビアとUAEを訪問し、アブダビにAIとデータ処理拠点を開設すると発表した点です。中東諸国が脱エネルギー依存を掲げる中で、AIインフラ開発に取り組むクアルコムの姿勢は、成長市場開拓の一環といえます。

投資家に求められる“視点の変化”

クアルコムは2025年第1四半期に過去最高の売上を記録し、米国で最も多くの特許出願を行った企業でもあります。

にもかかわらず、株価は割安に放置されている状態です。アモン氏は「投資家はまだ新たな市場を評価していないが、いずれ理解するだろう」と述べています。

AIやIoT、自動運転など、今後の産業構造を支える基盤技術に関与するクアルコムは、再評価のタイミングを待っている段階かもしれません。

まとめ

クリスティアーノ・アモンCEOが掲げる“新しいクアルコム”は、スマホ依存からの脱却と、AIを中心とした多角化戦略によって形づくられています。

中東でのAI拠点設立や、自動車・産業向けのチップ展開は、その布石にほかなりません。市場がこの変化を正しく織り込むまでには時間がかかるかもしれませんが、長期的な視点で見れば、クアルコムは十分に魅力的な投資先となり得ます。

*過去記事「クアルコム、四半期見通しが市場予想を下回り株価下落

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