2025年7月21日、米メディア「マーケットウォッチ」は、J.P.モルガンによる最新の市場分析について報じました。現在、株式市場は史上最高値圏にありますが、同時に一部の人気銘柄への過剰な資金集中が“赤信号”と指摘されています。
ハイベータ銘柄への過度な資金流入
J.P.モルガンのストラテジスト、ドゥブラフコ・ラコス=ブジャス氏は、2025年に入ってすでに3度の「投資スタイルの極端な混雑」が発生していると分析しています。
直近では、ボラティリティの高いハイベータ株に投資資金が急激に集中しており、その過熱度は過去30年で最速の水準に達しているとのことです。中でも、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)やコインベース(COIN)はその代表格であり、他にもエヌビディア(NVDA)やスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)、テスラ(TSLA)などの人気銘柄が過度に買われているとされます。
この背景には、金利据え置き期待や、前大統領による関税政策の一時的な緩和といった「ゴルディロックス経済」への過信があると同氏は分析しています。
警戒すべき兆候とヘッジ不足
J.P.モルガンによれば、このような急激なポジショニングの変化は「投資家の過信と市場の過熱感」を示すものであり、ハイベータ銘柄に集中しすぎたポートフォリオは、調整局面で大きな損失を被るリスクがあると警告しています。
特に注目すべきは、こうした銘柄に対するショートポジション(空売り)が減少している点です。これは、リスクヘッジが不十分な投資家が多いことを示唆しており、万が一の相場下落時に大きなインパクトをもたらす可能性があるといいます。
代替戦略としての「ロー・ボラティリティ・アリストクラッツ」
それでは、投資家はどのようにポートフォリオを見直すべきなのでしょうか。
J.P.モルガンは、現在「ロー・ボラティリティ(低変動)」銘柄への投資に妙味があると提案しています。具体的には、過去に安定的な配当を続けてきた「ロー・ボラティリティ・アリストクラッツ」への注目が高まっています。
中でも同社が推奨するのは、以下の5銘柄です:
- コカ・コーラ(KO)
- アレジオン(ALLE)
- インターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)
- CMEグループ(CME)
- CBOEグローバル・マーケッツ(CBOE)
これらの銘柄は2025年4月以降の市場では出遅れ感があり、今後の相場変動時に安定感を発揮する“守りの投資先”として期待されています。
FOMOに流されず、冷静な投資判断を
2025年の株式市場は「FOMO(取り残される恐怖)」による過熱が色濃くなっています。パランティアやコインベースのようなハイベータ株は魅力的に見えるかもしれませんが、今こそ冷静なリスク評価が求められます。
J.P.モルガンの分析は、目先のトレンドに流されず、構造的に堅固な銘柄への長期投資の重要性を改めて示しています。