アメリカの大手年金基金であるオハイオ州職員退職年金基金(Ohio Public Employees Retirement System、略称Opers)が、第2四半期にパランティア・テクノロジーズ(PLTR)およびマイクロストラテジー(MSTR)の株式を買い増し、一方でライドシェア大手のリフト(LYFT)の株式を一部売却したことが明らかになりました。
S&P500採用後も好調が続くパランティア
Opersは第2四半期にパランティア株を17万1441株追加購入し、保有数は90万8712株となりました。パランティアは2024年9月にS&P500に採用されて以降、インデックスファンドによる買い需要が高まっており、株価は2025年上半期で80%上昇、第3四半期もすでに13%の上昇を記録しています。
同社は堅調な決算を背景に成長を続けており、7月18日には過去最高値となる155.68ドルを記録しました。
ビットコイン投資を加速するマイクロストラテジー
また、Opersはマイクロストラテジーの株式も2万1499株買い増し、期末時点での保有株数は10万1880株となりました。マイクロストラテジーは企業として最大規模のビットコイン保有者として知られており、近年は高利回りの優先株を発行して暗号資産の購入資金を調達しています。
この戦略については賛否両論がありますが、同社は保有するビットコイン資産の価値が債務を大きく上回っている点を根拠に、投資家に安心感を示しています。株価は2025年上半期で40%上昇し、第3四半期も4.7%の伸びを見せています。
リフト株は一部売却、AV競争激化で先行き不透明か
一方でOpersはリフト株を5万8881株売却し、保有数は16万6628株に減少しました。リフトは2025年前半で22%の上昇を記録しましたが、第3四半期には6.3%下落しています。
2月の第4四半期決算はやや不安定な内容でしたが、5月の第1四半期決算では大規模な自社株買い計画が発表され、市場の反応は比較的前向きでした。6月にはTDカウエンが投資判断を「ホールド」から「買い」に引き上げていますが、自動運転市場の競争激化がリスク要因と見られている可能性があります。
投資判断の多様性とポートフォリオ戦略が浮き彫りに
今回のOpersの取引は、成長期待の高いAI・暗号資産関連銘柄への投資姿勢を強める一方で、競争環境の変化が激しいライドシェア事業からは部分的に撤退するという、戦略的なポートフォリオ再編を示唆しているように見受けられます。
米国株市場において機関投資家の動きは個人投資家にも大きな示唆を与える存在です。パランティアやマイクロストラテジーのようなテーマ性の強い銘柄への資金シフトが、今後さらに加速するのか注目されます。