米飲料・スナック大手のペプシコ(PEP)は、2025年第2四半期決算で市場予想を上回る結果を発表しました。売上の伸びは主に国際部門の好調とドル安の恩恵によるもので、株価は決算発表後の7月17日の米国市場で7%近く上昇しました。
為替が追い風に、しかし本業には陰りも
ペプシコの調整後1株利益(EPS)は2.12ドル、売上は227億ドルとなり、アナリスト予想(EPS2.03ドル、売上223億ドル)をいずれも上回りました。前年同期比では売上が1%増加し、3四半期連続の減少に歯止めがかかったかたちです。
ただし、為替の影響を除いたベースではEPSは前年より5%減少しており、本業の収益力には懸念も残ります。特に、2020年に買収したエナジードリンク「ロックスター」および中国のスナックブランド「Be & Cheery」に対する減損処理が響き、18.6億ドルの評価損が発生しました。
北米市場での苦戦が続く
最大の課題は北米市場にあります。第2四半期には、北米のスナック部門(Lay’s、Doritosなど)のオーガニック売上が前年比で2%減少。飲料部門も価格引き上げで売上をかろうじて支えたものの、販売数量ベースでは2%減となりました。
CEOのラグアルタ氏は、北米市場の競争力と実行力が改善してきたと強調し、今後は製品の革新とコスト最適化を進めていくと述べています。しかし、BNPパリバのアナリストは「経営陣への信頼はあるが、北米市場の立て直しにはより大きな緊急性が必要だ」と指摘しています。
通期見通しはやや上方修正も油断できず
ペプシコは、2025年通期の調整後EPS見通しを従来の1.5%減から横ばいへとやや上方修正しました。為替要因がやや落ち着いたためとされていますが、仮に年後半に関税が導入された場合、輸送費や包装コストが上昇し、利益率にマイナスの影響を及ぼす可能性もあります。
株価は17日の米国市場で144ドル前後を推移しており、アナリストの平均目標株価(145ドル)とほぼ同水準です。競合のコカ・コーラやS&P500と比べて、パフォーマンスは大きく出遅れている状況です。
投資家は経営陣の次の一手に注目
ドイツ銀行のアナリストは「ペプシコの本質的な価値は現在の株価を上回る」としながらも、消費動向の悪化が強気派の論拠を揺るがしていると述べています。
今後、ポートフォリオの見直しや価格戦略の変更、健康志向を取り込む製品開発などが加速できるかが、北米事業の復活のカギとなりそうです。