米クラウド大手のオラクル(ORCL)が、米国企業で14社目となる「時価総額7000億ドルクラブ」入りに王手をかけています。2025年7月17日の取引で株価は3.09%上昇し、終値は過去最高の248.75ドルを記録。7000億ドル到達に必要とされる株価249.21ドルまで、あとわずかとなりました。
取引時間中には一時251.60ドルまで上昇し、日中の最高値も更新しています。ここ1カ月で株価は19%、過去1年では79%も上昇しており、同社の時価総額拡大が加速しています。
ラリー・エリソン氏が再び世界2位の富豪に
この株価上昇は、共同創業者でCTOを務めるラリー・エリソン氏の資産にも影響を与えています。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、同氏はメタ(META)のマーク・ザッカーバーグ氏を抜き、世界第2位の富豪に返り咲きました。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏とともに、過去1年でこの順位を巡る激しい変動が続いていますが、依然として首位にはテスラ(TSLA)のイーロン・マスク氏が君臨しています。
AI需要と大型契約で成長期待が高まる
アナリストの間では、人工知能関連需要の高まりを背景に、オラクルのクラウド事業への期待が強まっています。カンター・フィッツジェラルドのアナリストは、2025年6月末に発表された年間売上300億ドル規模の契約を受け、目標株価を216ドルから271ドルへ引き上げました。この契約は2028年度から業績に反映される見通しで、オラクル・クラウド・インフラストラクチャ(OCI)部門が2029年度には売上全体の53%を占めると予想しています。
エバコアISIのアナリストも同様に、目標株価を215ドルから270ドルへ引き上げ、「第4のグローバル・ハイパースケーラー」としての地位を固めつつあると評価しています。AI向けワークロードの増加や、各国政府によるソブリンAI向けデータセンター整備の需要が追い風となり、OCIの市場シェアは着実に拡大しています。
長期的な成長戦略にも注目
オラクルは医療テクノロジー子会社であるサーナーやデータクラウド分野における逆風を乗り越えつつあり、アプリケーション事業では2桁成長が続いています。多くのデータベース保守契約ユーザーもクラウドに移行しており、収益構造が大きく変化しています。
エバコアは、2025年10月に予定されているアナリストデーにおいて、オラクルが長期的な売上目標を引き上げる可能性が高いと予測しています。規模の大きな企業の中でも、このような成長加速を見せている例は限られており、今後の動向に注目が集まります。
*過去記事「パイパー・サンドラーが格上げ!オラクル株に注目すべき理由」