グーグルがAWSの牙城に風穴?AIスタートアップ争奪戦の現在地

クラウド業界におけるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の支配が揺らいでいます。2025年7月に米メディア「The Information」が報じた内容によれば、グーグル・クラウドがAIスタートアップを中心に存在感を急速に高めているようです。

ブラウザ開発企業が選んだのはグーグル

ある注目スタートアップ「The Browser Company」は、AI搭載ブラウザ「Dia(ディア)」のAI機能を支えるクラウドとして、当初AWSと交渉していました。数千万ドル規模の取引が期待された案件ですが、最終的に選ばれたのはグーグル・クラウドでした。理由は、グーグルのAIモデル「Gemini」によるパフォーマンスの優位性とコスト効率の高さだったといいます。

Geminiの進化が牽引

グーグル・クラウドが注目される背景には、自社開発のAIモデル「Gemini」の進化があります。最新版のGemini 2.5 Proは、複雑な推論やマルチステップ処理に強みを持ち、多くのAIスタートアップが乗り換えを検討しているとのことです。

また、グーグルはスタートアップへのサポートとして、DeepMindの研究者とのミーティングを設け、フィードバックをもとにモデルを改善する取り組みも行っているとされています。

AWSの巻き返しと強み

一方、AWSも反撃の構えを見せています。オープンAIモデルの利用を容易にする新サービスを開発中で、ライバルクラウド上のモデルにも対応できる仕組みが導入される予定です。

また、スタートアップが必要とする大規模な計算リソースを短期間で供給できる点では、依然としてAWSに優位性があるようです。例えば、動画解析やAIアプリの安全性検証を行う企業が、AWSの迅速な対応力を評価してグーグルから乗り換えたケースも報告されています。

ハードウェア供給力もカギに

AIチップの確保もスタートアップにとって重要な課題です。エヌビディアのHopperチップを安定的に調達できるAWSに魅力を感じて移行した企業もあるとのことです。AWSは需要が少ない時間帯を活用した割安なレンタルにも対応しており、コスト面でも柔軟性があります。

今後の焦点は「使いやすさ」と「性能」

以前はアカウント開設や初期設定の難しさが課題とされたグーグル・クラウドですが、現在はユーザーインターフェースの改善が進み、開発者フレンドリーな環境になりつつあるようです。

クラウド業界では、AI性能だけでなく、開発者支援の手厚さやハードウェア供給体制など、総合力が競争のカギを握る時代に突入しています。今後のAWSとグーグルの攻防から目が離せません。

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