AIクラウド企業のコアウィーブ(CRWV)株が、2025年7月17日の取引で急落しました。背景には、HSBC証券が発表した厳しい評価レポートがあるようです。終値は7.57%安の132.21ドルとなっています。
株価は過熱?HSBCが「Reduce」評価と目標株価32ドルを提示
HSBCのアナリスト、アビシェク・シュクラ氏は、コアウィーブの株式に対して「Reduce(売り推奨に相当)」と評価し、目標株価を32ドルと設定しました。これは前日の終値から約77%の下落を見込むもので、ファクトセットに登録されたアナリストの中で最も弱気な見通しです。
GPU特化のビジネスモデルに潜むリスク
コアウィーブはAI処理に特化したGPUインフラを持ち、エヌビディア(NVDA)の最新チップを安定的に供給されていることが強みとされています。また、マイクロソフト(MSFT)からの受注も大きく、AI関連の急成長株として注目されてきました。
しかし、HSBCはこの「特化」が逆に弱点になる可能性を指摘しています。AI用途に限られたサービスは市場の変化への柔軟性を欠き、汎用クラウドと比べて成長機会が限られるという見方です。
顧客集中と財務リスクへの懸念も
さらに問題視されているのが、顧客の集中と高コスト構造です。2025年第1四半期の売上のうち、約72%をマイクロソフトが占めていたと報じられており、取引先の多様化が進まなければ、売上や交渉力が大きく左右される恐れがあります。
また、データセンターの賃料は売上の16%を占め、今後も上昇する可能性があるとのことです。加えて、平均12.4%という高い金利での資金調達も課題となっており、HSBCは2030年末までに約420億ドルの追加債務が必要と予測しています。
成長期待とリスクの綱引きが続くか
上場以降、株価は3倍以上に跳ね上がるなど、コアウィーブはAIブームを象徴する銘柄として注目されてきました。しかし、現時点では収益構造やコスト、そして将来の資金調達に対する懸念が高まっています。
今後、同社が事業の多角化や財務の健全化をどのように進めるかが、中長期的な株価の行方を左右しそうです。
*過去記事「コアウィーブが新データセンター計画を発表、株価は急騰」