TSMCが過去最高益を更新!AI半導体需要が牽引する成長の行方とは

  • 2025年7月17日
  • 2025年7月17日
  • TSMC

*「TSMCの第2四半期利益が61%増、AI需要がけん引」の続報です。


台湾積体電路製造(TSMC)は、2025年第2四半期の決算において純利益が前年比61%増という驚異的な成長を記録しましたが、その背景にはAI関連半導体への旺盛な需要があります。今回の決算発表では、通貨の逆風や米国の関税政策を巡る不透明感をものともせず、同社のAI戦略が力強く進行していることが浮き彫りとなりました。

AI・HPC分野が主導する収益成長

TSMCの第2四半期売上は、米ドルベースで44%増の300.7億ドルに達しました。主にAIや高性能コンピューティング(HPC)向けの半導体が需要を牽引しており、TSMCはこれらの分野の売上が2025年に倍増し、今後5年間で年率40%以上の成長が続くと見込んでいます。

財務担当役員のウェンデル・ホアン氏は、「第3四半期も最先端プロセス技術に対する強い需要が当社の事業を支える」と述べ、AI関連分野が成長の柱であることを強調しました。

営業利益率とマージンへの注目

一方で、粗利益率(グロスマージン)は第1四半期の58.8%からわずかに下落し、58.6%となりました。第3四半期については55.5~57.5%の範囲を見込んでおり、アナリストからは「台湾の夏季における電力コスト上昇が利益率に影響する」との見方も出ています。

米中貿易摩擦と関税リスク

現在のところ、米国政府は半導体や製造装置、PC、スマートフォンなどを関税対象から除外しているため、TSMCは直接的な影響を受けていません。しかし、米商務省は国家安全保障上の観点から、将来的な関税適用の可能性を引き続き調査中です。

このリスクへの対応策として、TSMCが米国アリゾナ州で建設中の3つの新工場プロジェクトに注目が集まっています。同社はこれらの施設で最先端の2ナノメートルプロセスによる製造を2028年にも開始する計画であり、総額1650億ドルに及ぶ米国投資の一環として、サプライチェーンの地域分散化を図っています。

ASMLの警鐘とTSMCの対抗策

TSMCに製造装置を供給しているASMLは、地政学リスクや経済の不確実性を理由に、2026年の成長見通しを下方修正しました。これにより、半導体業界全体に対する慎重な見方も一部で広がっています。しかし、TSMCは自社の成長ストーリーに強い自信を示しており、引き続きAIおよびHPC分野の長期成長を見据えた積極投資を継続するとみられます。

今後の注目点

TSMCのAIチップ製造は、エヌビディア(NVDA)、アップル(AAPL)、クアルコム(QCOM)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)といった主要顧客に深く関与しており、AI半導体市場の中心的存在であり続けています。今後は、米国での生産体制強化や、次世代プロセスへの移行が、同社の成長軌道にどのような影響を与えるかが注目されます。

*過去記事はこちら TSMC

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