米国株はドットコム・バブル時より高値水準?それでもバブルとは限らない理由

  • 2025年7月17日
  • 2025年7月17日
  • BS余話

2025年の米国株式市場は、AIブームを背景にナスダック総合指数がS&P500を上回るパフォーマンスを見せています。こうした状況の中で、「市場はバブルなのか?」という問いが再び投資家の間で議論されています。

米投資情報誌バロンズは、2025年7月16日付の記事「Stocks Are Pricier Than They Were in the Dot-Com Era. That Alone Doesn’t Make a Bubble.」で、この話題について多角的な視点から解説しています。

1990年代との違い:企業の実態とバリュエーション

アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トーステン・スロック氏は、現在のS&P500上位10社の株価バリュエーションが1990年代末より高いと指摘しています。2000年代初頭には予想PER(株価収益率)が25倍程度だったのに対し、現在は約30倍に達しているとのことです。

一方で、データトレック・リサーチのニコラス・コラス氏は、高い評価を受ける背景として、テクノロジーの進化を挙げています。1999年以降のコンピューティング性能は38万%も向上しており、AI時代の企業価値の裏付けとなっていると同氏は主張しています。

IPO数やマクロ環境の違いも

さらに1999年当時と比較すると、生成AI関連のIPOははるかに少なく、2025年現在では20件未満にとどまっています。1999年には300件近いインターネット関連IPOがあったことを考えると、現状のAI関連市場はより慎重で選別的であるといえます。

また、1999年から2000年にかけてはFRBが利上げを進め、原油価格も上昇傾向にありました。現在はその逆の環境下にあり、株式市場を取り巻くマクロ経済の構図も大きく異なります。

バブルの境界線とは?

ソシエテ・ジェネラルの米国株式ストラテジーヘッド、マニシュ・カブラ氏は、バブルかどうかを判断するのは金利水準そのものよりも「金利の方向性」であると述べています。また、株式のリスクプレミアムも重要で、現在は3.3%と過去平均の4.2%を下回っているとのことです。

同氏はS&P500が7,500を超える水準(現在より20%以上上昇)に達しない限り、バブルとは言えないとしています。

過去は繰り返さないが、韻を踏む

記事では、マーク・トウェインの有名な言葉「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」を引用し、テクノロジー投資においては「過剰な期待と現実のギャップ」に注意する必要があると締めくくっています。

AIや半導体といった新技術が牽引する株高は確かに目覚ましいものがありますが、その熱狂の裏にある実態と成長の持続性を冷静に見極めることが求められています。

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