2025年7月16日、米投資情報メディア「バロンズ」は、決算シーズンを前にウォール街でショート候補として注目されている7銘柄を紹介しました。株式市場が貿易関税の緩和により急騰した後、再び関税不安が高まる中で、過熱気味の銘柄に対して警戒感が強まっています。
関税ラリーの終焉とともに利益確定の動きも
S&P500指数は、ドナルド・トランプ大統領が4月8日に関税を一部緩和する方針を示したことで、4月以降25%も上昇しました。しかし、8月1日に再び新たな関税発動が予定されており、投資家心理に再び不安が広がっています。こうした中で、利益確定やショート戦略を検討するタイミングとの見方も出ています。
名指しされた注目の7銘柄
複数のウォール街ストラテジストがショート候補として挙げた銘柄の中には、以下の7社が含まれています。
- テスラ(TSLA)
- マイクロストラテジー(MSTR)
- ドラフトキングス(DKNG)
- ラスベガス・サンズ(LVS)
- テキサス・パシフィック・ランド(TPL)
- アルベマール(ALB)
- チョイスホテルズ・インターナショナル(CHH)
特にテスラとチョイスホテルズは、JPモルガンのアナリストが「最も注目すべきショート候補」と位置付けており、決算発表が株価下落の引き金になる可能性もあると指摘されています。
テスラは予想利益の53%引き下げ、バリュエーションは依然割高
テスラは7月23日に第2四半期決算を発表する予定です。電気自動車需要の減速により納車台数の見通しが下方修正され、通期の利益予想は今年に入ってから53%も下がっています。過去8四半期のうち6回で市場予想を下回っており、決算発表がネガティブサプライズとなるリスクも抱えています。
それでも同社の株価は12カ月先の利益予想ベースで132倍と、過去5年平均(91倍)を大きく上回る水準にあります。
チョイスホテルズも成長性に課題、競合と比較して割高感
チョイスホテルズも、業績の伸びが鈍化傾向にある銘柄として注目されています。JPモルガンのアナリストは6月に同社株を「売り」でカバレッジを開始し、今後のEBITDA成長率を年率1桁台前半と予想しています。これは競合のウィンダム・ホテルズ・アンド・リゾーツ(WH)が見込む7%成長に対して大きく見劣りします。
さらに、チョイスホテルズは過去8四半期で予想を上回る決算を出したのはわずか2回にとどまり、3回は予想を下回っています。バリュエーションもウィンダムとほぼ同等でありながら、成長性では劣っている点が懸念材料とされています。
ショート戦略はハイリスクだが高リターンの可能性も
記事では、ショートポジションが常に成功するとは限らないこと、借株コストや無限損失リスクも伴うことが注意点として挙げられています。しかし、成長鈍化や決算ミスが株価急落につながる局面では、大きなリターンを得るチャンスにもなり得ます。
今後の決算発表シーズンでは、上記のような銘柄の動向が特に注目されることになりそうです。