2025年7月15日、エヌビディア(NVDA)の株価が大きく上昇し、史上最高値を更新しました。その背景には、米国政府が同社のH20チップの中国向け輸出を再び許可する方向に動いているというニュースがあります。
H20チップ、中国向け販売再開へ
エヌビディアは、米国の輸出規制に準拠したH20チップを中国市場に再投入するため、輸出ライセンスの申請を行っており、米政府からは承認が得られる見通しであると発表しました。これにより、長らく懸念されていた中国売上の不透明感が払拭され、株価は4%上昇して15日の終値は170.7ドルとなりました。
同社は、H20に加えて新たに開発した「RTX Pro GPU」も発表しました。このGPUはデジタルツインAIの用途を想定しており、スマートファクトリーや物流分野での活用が期待されています。
時価総額5兆ドル超も視野に
メリウス・リサーチは、エヌビディアの目標株価を235ドルに引き上げました。これは時価総額に換算すると約5.7兆ドルに相当します。すでに時価総額4兆ドルを突破しているエヌビディアにとって、中国市場の回復は今後の成長をさらに加速させる大きな追い風となりそうです。
アナリストは、過去に中国向け輸出制限によって同社は四半期あたり最大80億ドルの売上を失ったと見積もっており、その回復が期待されています。仮に10億ドルの中国売上が回復すれば、1株当たり利益は0.25ドル増加すると試算されています。
ブラックウェル世代のGPUも登場予定
エヌビディアは今後、H20チップに代わる形で次世代GPU「ブラックウェル」ベースのRTXシリーズを展開する予定です。これにより、さらなる性能向上と高収益性が期待されています。カンターによれば、H20の在庫分は既に会計上減損処理されており、販売が再開されれば高い利益率を得られる可能性があるとのことです。
AMDも中国向け輸出再開へ前進
同じく半導体メーカーのアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も、中国へのMI308チップ輸出に向けたライセンス審査が進んでいると発表しました。これによりAMD株も6.4%上昇し、エヌビディア同様に中国市場からの恩恵が期待されています。
まとめ
エヌビディアにとって中国市場はAI開発者が多く存在する戦略的に重要な市場です。米中貿易交渉が進展する中、今回の動きは同社にとって大きな追い風となります。引き続き、規制状況と市場の動向を注視する必要があります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA