シノプシスによるアンシス買収、ついに中国当局が条件付き承認

  • 2025年7月15日
  • 2025年7月15日
  • BS余話

2025年7月14日、米バロンズが報じたところによると、シノプシス(SNPS)によるアンシス(ANSS)の買収に対して、中国国家市場監督管理総局(SAMR)が条件付きで承認を与えました。これにより、総額350億ドルにのぼる大型M&Aが最終的な完了に近づいています。

米中間の規制環境に変化、取引が一歩前進

両社はすでに米国、英国、EUからの承認を得ており、中国当局の判断が最後のハードルとなっていました。今回の承認により、残る障壁はほぼ解消され、買収完了が現実味を帯びています。

ただし、中国当局の条件として、シノプシスは一部事業の売却や、アンシスとの製品バンドルの禁止、他社ソフトウェア(たとえばケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS))との相互運用性を維持する義務を負うこととなりました。

なぜ中国の承認が重要だったのか

今回の買収は、単なる企業再編にとどまらず、米中間の半導体関連交渉の一環としても注目されてきました。2025年6月には米中両国が貿易枠組みに合意し、米国は対中チップ設計ソフトの輸出規制を緩和。対する中国もレアアース輸出の制限緩和が期待されています。

両社とも中国市場からの売上依存度は高く、シノプシスは全体の16%以上、アンシスも約5%を中国市場が占めています。そのため、同国の承認はビジネス継続のうえで極めて重要でした。

なぜこの統合が注目されているのか

シノプシスはチップ設計ソフトの分野で、アンシスはエンジニアリングおよび物理シミュレーションソフトの分野で、それぞれ業界をリードしてきました。近年は自動車業界をはじめとする製造業において、両社の製品を併用するケースが急増しており、今回の統合は製品開発を包括的に進めるための「ワンストップソリューション」として高いシナジーが期待されています。

株価への影響と今後の展開

7月14日の米国市場でシノプシス株は1.7%下落し、アンシス株は3%上昇しました。これは投資家の期待とリスク認識が交錯していることを示しています。

買収完了後は、業界全体への影響も大きくなる見込みです。とくに競合であるケイデンスにとっては、相互運用性の継続が担保されたとはいえ、強力な統合体の誕生は競争環境に変化をもたらす可能性があります。

今後の正式な買収完了と、その後の事業統合プロセスに注目が集まります。

*過去記事「シノプシスがアンシスを350億ドルで買収!株価動向と市場へのインパクト

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG